『わぁあ…』
思わず感嘆の声が漏れる。言葉にするなら、凄い綺麗だ。
生徒会が作ったというスターロード。
(お忘れの方もいらっしゃるとは思いますが)私も一応お手伝い生徒会ですが関与してません。
劇の方を優先させてもらいました。翼と月子先輩と颯斗先輩ごめんなさい。
劇を終え、メイクもウィッグも衣装も取っ払った通常運転の私に戻し学園祭の目玉であるスターロードを見に来たわけです。一人で。
『凄いなあ…こんなの作っちゃうなんて…』
天井から釣り下がった無数の星型ライトは「スターロード」という名に相応しくまさに星の道だ。
私はその道の真ん中で止まってずっと周りを見ていた。
確かに歩くのが醍醐味なんだろうけど見ているのだって楽しい。
一応端っこには避けているので通行の邪魔にはならないはず…、と思っていると肩をとんとんっと叩かれた。
「尚?」
『あ、…錫也先輩?なにしてるんですか?』
「なにって…スターロード見に来たんだよ」
一応錫也先輩の周りを見てみても月子先輩も哉太先輩も見当たらない。
一人でですか、と問いかけるとうんと答えた。
『なるほど、錫也先輩もぼっちですか…』
「ぼっちって…、じゃあまあぼっち同士一緒に見るか?」
くすくすと悪戯した子のような笑顔で誘われたので、私は受けて立ちますよ!と意気揚々と答えた。
『綺麗でしたね!!』
とりあえず今日は疲れたので寮に帰ろうとすると錫也先輩が送ると言ってくれたので甘えておく。
「毎年見てるけどいつも凄いんだぞ」
見たかったです、と素直な感想を述べると哉太が写真撮ってるんじゃないかと言われた。
『あー…哉太先輩どっか居ますかね?』
「哉太たちは天文科の打ち上げで教室に居るよ。でも明日にしておいた方が良いんじゃないか?」
『あー天文科一位でしたもんね…、来年は勝ちますから!』
ていうか。あれ?私は首をかしげる。
『天文科の打ち上げって…錫也先輩は行かなくて良いんですか?』
「うん、今から行くよ」
『なにか用事でもあったんですか?』
そう聞くと今終わらせる、と錫也先輩は私の頭を軽くぽんぽんと叩くように撫でた。
「お疲れ様。凄い楽しかった」
『…あ、ありがとうございます』
「じゃあ俺は戻るから今日は疲れてるだろうから寝るんだぞ」
『はーい…』
学園の方へ歩いていく錫也先輩の後姿を見ながら私は撫でられたところを自分の手で押えた。
ただただ広がっていくだけ
title by 約30の嘘