一度だけ | ナノ
「どうしたの?尚ちゃん」
『つ、きこ先輩と…幼馴染さん…』

月子先輩とのメールで度々出てくる3人の幼馴染さん。
東月錫也先輩と、七海哉太先輩と、土萌羊先輩。

「何で体操服着てるの?」
『あ、…えーっと、弓道部に体験入部、みたいな?』
「えっ!尚ちゃん弓道部入るの?」
『いや入らないです!』

そっか、と月子先輩が目に見えて沈んだ。

「えっと、初めまして?東月錫也です。尚ちゃんだよね、月子から話はよく聞いてます」

にこっ、とさっきの金久保先輩のように笑う東月先輩。
そしてほら二人とも挨拶して、と東月先輩は後ろの二人に促した。

「七海哉太。よろしくな」
「…土萌羊」
『よ、よろしくお願いします』

おおう。七海先輩はともかく土萌先輩超こええ!まるで虫を見ているようだ!

『月子先輩達はこれからご飯ですか?』
「うん、尚ちゃんは?」
『私は食堂行きます、それじゃ』

走り出そうとした時ぱしっ、と手を掴まれた。うえ?
振り返ると月子先輩があたしの手を握っていた。ちょ月子先輩…私ときめいちゃうよ。

「尚ちゃん一緒に食べない?」
『へ?』
「錫也のお弁当、美味しいんだよー。錫也、だめ?」
「いいよ、いっぱいあるしね。二人ともいいよな?」

東月先輩は振り返り七海先輩と土萌先輩に問う。

「あー、別に構わねえよー」
「………月子達がそう言うなら」

ちょ、土萌先輩怖い!怖いよ!(アホ)毛が怒ってるよ!

『や、あの、私大丈夫なんで!』
「わざわざ食堂でお金使うことないよ」

ああ東月先輩の笑顔は眩しいですが土萌先輩の視線が痛いです。

「じゃ、尚ちゃん行こっ」
『ちょ、月子せんぱーい!?』

ずるずると半ば強引に引っ張られる。

学園のマドンナは男前
(…じゃなくて、月子先輩いいいい!?)(さ、行こう行こう!)(ちょ、月子先輩力強いですね!?)


2012.01.21 修正・加筆
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