オリエンテーション1日目。
『ぅぐおあ〜…っ』
「ちょ、その人外みたいな呻き声やめてくれる?」
『ぎ、もぢわるい…』
(私的に)地獄のバスが移動し始めて5分たらず。
私は既に限界が近づいています。いや、酔っても吐いた事はないんだけど。
いやこう…バスの空気みたいなのがダメなわけですよ。本読むとか自滅行為にも等しいと思われる!
『ぅ〜…バスなんて滅びてしまえええ…』
「それだと僕らは星月学園から下の街に行くのに時間がかかると思うんだけど?」
『く、…それを、言うな』
確かに文明万歳だとは思うけどさ!
「天音大丈夫か?」
後ろの席のキューティクルくんが尋ねてきた。
『だいじょばん…』
分からない人が居るかもしれないから一応説明しておく!だいじょばん→大丈夫ではないです。
梓の隣に座り前の方の窓際に座っているが、やっぱり酔うものは酔うのだ。
酔わないって思っとけば酔わないってなにその自己暗示。出来たら苦労はない。
『うえっぷ…』
「あーもううるさいなあ」
『な!う、うるさいとは失礼な!』
お前が隣に来いっていったくせに!という反論は梓の行動に消えた。
窓側の頭をぐいっと梓は自分側に寄せた。不意打ちのその行動に体ごとぱたりと倒れる。
『ぇあ、』
「もうこれで寝とけばいいから黙ってて」
梓の声が上から聞こえた。
目だけ動かすと梓を下から見上げるかたちになっている。
こ、これはもしや。
世間様でいう、膝枕とかいうやつでは…!?
『あ、あああ梓!?』
「うるさい。僕も眠いから尚も眠れば」
そういって瞼を閉じた梓。いま物凄くじゃいあにずむだったね!
『えぇぇ…』
いきなり眠れなんてそんな、無茶苦茶な、
いやでもこの際寝てしまった方が良いか…。昨日本読みすぎて眠かったし。
瞼を閉じると三秒後に意識は消えた。
Side Azusa
寝たかな。
自分の膝のうえで目を閉じて規則的な寝息をたてる尚を見つめた。
頬にかかっていた前髪を退けるとくすぐったのか顔をゆがめた。
ていうか五分で酔うってどういうことなの。
恐らく今まで会った人の中で最速であろう時間だ。
馬鹿だなあ。馬鹿なのに、いやむしろ馬鹿だから目が離せないというか…。
爆発しない翼二号
(…翼が二人居る感じだ)
2012.01.22 修正・加筆