一度だけ | ナノ
保健室に到着しこたせんせーから酔い止めの薬を貰った。

『あ、ありがとーござます…』
「お前は案外酔いやすい体質なのか?」
『案外って何ですか…ええ、かなりやばいっす』

おえっぷ。朝食べたカツ丼が戻ってきそうだ。
え、なんで朝カツ丼かって?食べたかったからだよ。

隣の席で食べてた梓と翼はがっつり引いてたね!
私からしたらお前らの宇宙食の方がよく分からん。カリキュラムとかなんだしそれ。

「…お前明後日大丈夫なのか?」
『…明後日なにかありましたっけ?』

なんだっけ?首を傾げる私に向かってため息をついて「オリエンテーションだろ」とこたせんせーが言った。

『ああ…』
「忘れてたのか…。行きと帰りはバス移動だぞ?」
『死んだなあ…』
「…」

ほら水。呟きは完全にスルーされた。

「飲んだらとりあえず寝とけ。で、良くなったらさっさと教室に行け」
『ぅあーい…』

ぼふんとベッドに倒れる。このまま寝てしまおうか、なんて思っていると
こたせんせーが「ちゃんと布団きろよー」と一言なげかけてくれた。

「あとお前パンツ見えてるぞ」
『…見苦しいものをお見せしました…』
「まったくな」

こたせんせーは私に恨みでもあるのか。泣きたい。
いやもう涙でてきた。いいや、寝よう。

上と下の瞼をくっつけると、すぐに睡魔が襲ってきた。

『すー…』
「(おやすみ三秒再来、だな)」



『んー…』
「おう、起きたか」

ぅぐあ…電球がまぶしい、ぜ…。
ていうか、右手があったかいんですけど…。

星月先生はちょっと遠いところ(ソファ)で睡眠してるし。
目だけ動かして、その温もりの元を確かめる。

『あ、あずさぁ…?』
「すー…」

いやいや、まさかそんなわけ。と自分の目を疑ったが、あの特徴的なぱっつんは間違えはしないだろう。
しかも女の子かお前は、と思うような寝顔で眠っている。

『え、ちょ…?』
「ん、…あ、尚起きた?」

どうやら起き上がった振動で起きたらしい。
目をごしごしと擦りながら上目遣い気味にあたしに声をかけた。

『あ…、うん起きたよ』
「和泉から聞いたよ。陽日先生に振り回されて倒れたって」
『や、倒れてはないよ?』

そう言うと一瞬だけ心なしか梓の顔がほっとした、安堵したような顔になった。

「酔いやすいんだ?」
『んー、多分酔いやすい』
「じゃあオリエンテーションの時は僕か翼の横…いや、翼の横は寝れないし僕の横に座りなよ」
『え、でもあれってクラスごとに座るんじゃないの?』

さあ?と飄々として答える梓。「ま、言っとけば良いんじゃない?」と爽やかに言い放つ。
ええええ!そんなんで良いの?

『あ、うん…じゃあいざとなったら、お願いします』
「うん、頼まれた。それじゃあ教室戻る?だいぶ気分良いでしょ」

もう吐き気諸々はなくなっている。頷くとほら、と手を差し出してきた。
え、なにこの手。ぱちくりしていると梓がはあ、とため息をついて私の手をとった。

「手、貸してあげるって」
『ぅえ、…あ、どもです』
「ほら、行くよ」

『あ、梓が優しい、だと…!?』
(失礼だな。僕はいつでも優しいよ)(月子先輩限定じゃん!)((…何かバカップルを見ているようだ…))


◎実は起きてたこた先生


2012.01.22 修正・加筆
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