Side Kotarou
行き先を聞くと学園から少し離れた病院だった。
まあバスで行ける範囲だったけどもこの状態で行かせて行き倒れになられても困るのでガソリンが少し減ることくらい目を瞑る。
「お前は寝とけ。ほら布団貸してやるから」
そう言って保健室から持ってきた布団を天音に投げる。
『ありがと、ございます』
冷えピタを貼った天音は布団に潜り込んだ。
3秒後、規則的な寝息が聞こえた。
オヤスミ3秒。きっと疲れてたんだろう。
俺は病院へ車を走らせた。
「天音、おい天音着いたぞ」
ぺしっ、と頬を叩いても顔を歪めるだけで
どうやら疲れと深い眠りの俎上効果みたいでまったく起きる気配がない。
だいぶ強引に揺らすとやっと目を開けた。
『ぅ、…星月、先生…?』
「着いたぞ、俺は…行った方が良いのか?」
『や、大丈夫です。寝てたら…気分良くなりましたから』
そう言うと目をこすりながらゆっくりと起き上がり車から出る。
少し寝癖のついた髪を整えて俺に頭を下げた。
『ありがとうございました。我儘言ってスイマセン』
「我儘って自覚があるならさっさと行って用事済ませて来い。そのために来たんだろ」
『…はい』
助手席の扉を閉めて病院の入り口まで走った。
俺は天音の使っていた布団を自分にかけ瞼を閉じた。
今度は俺が揺り起こされる番だった。
時計を確認すると天音が車から降りてからほんの数分だった。
『先生、用事終わりました』
「ああ…そんじゃあ乗れ。それで帰ったらちゃんと眠れ」
『はい。分かりました』
乗り込んだのを確認して車を発進させた。
学園に着き星月先生にお礼を言って車を降り、寮に向かう。
一人で行こうとしたら星月先生がさりげなく支えてくれた。
意外と優しいんだあ…、思っていたことが顔に出ていたのか空いてる手の方で叩かれた。いたい。
寮の玄関が見えてきた。そして入り口に人影。
誰だろう、と思っていると段々見えてきた。
「天音、お帰り?」
仁王立ちした大魔王さ…いえ、錫也先輩のお出迎えでした。
え、かお、こわい!!
そして星月先生が欠伸をしながら後ろから来て、
「あー、東月。後は頼んだぞ」
エンドロールの後のこと(もちろんです)(や、ガチでいいです!マジでガチでいいです!)(い、く、よ?)(………はい)
2012.01.22 修正・加筆
title by
約30の嘘