『ぅ…あ』
「あ、起きたぞ」
端整な顔が出迎えた。青緑だあ…って事は、こたせんせーかな…。
「おい、天音。大丈夫か?」
ぺしぺしと二回ほど頬を叩かれる。あんまり痛くないあたり意識がある事を確認しているのか。
ぐっと親指をたてるとこたせんせーがよしと言った。
『う…ここ、保健室…?』
起き上がろうとすると正面から押さえつけられた。
「まだ寝てろ。まったく…熱が39度もある奴が無理するんじゃない」
『そんなに、あったんですか!?』
「もう一回測るか?それと大きい声を出すな」
いやいいです、と断ってベッドに体を沈めた。うー…体だるいよう。
頭に手をやると包帯が巻かれていた。
「お前と夜久に暴力行為をした奴は今不知火のとこだ。おそらく処分を受けるだろうな。
ついでにお前は出血の割に傷は深くなかったぞ」
『はあ…あっ今何時ですか?!』
星月先生は私の勢いに吃驚した。そして吃驚しながらも時計を確認して告げた。17時だと。
頭が瞬時に覚醒した。
Side Kotarou
時間を告げると天音はいきなり起き上がって
『行かなきゃ』
と言った。行かなきゃって
「どこにだ!大体そんな体で、」
『私の体はどうでも、』
「俺がどうでも良くない!」
こんなフラフラで明らかに体調が悪いという事が分かるというのに、
誰が行かせるんだ。こんな奴。
手を掴むと潤んだ瞳で睨んできた。
『離してください』
「離さない。そして行かせない。寝てろ」
『いやです。行くし、寝ない』
何処行きたいんだ、コイツは。だが止めても無駄そうだ。
『離してください』
「…行く事は許可する。だが、誰か付き添いを呼べ」
『………一人で行けます』
馬鹿か、倒れるに決まってる。
「誰か呼ばないなら俺が行くぞ」
『…誰でもいいです。早く行きたいんです』
そう言うと天音はため息をついた。
日頃の天音の態度とかなり違うが…まったく、
ため息つきたいのはこっちだ。
(冷えピタ貼るか?)(…どっちでも、)(…車の中で寝てろ)
2012.01.21 修正・加筆