一度だけ | ナノ
「あと…翼君が頻繁に爆発させるので充分気をつけてくださいね」

ニコリ、と音がつきそうな笑顔で言われた。おおう、颯斗先輩ちょう怖い。
いつか翼がテロリスト認定されないことを祈るのみだ。

『は、はーい…』
「それじゃあ、…とりあえず今日は僕の補佐という事で」
『分かりました、お願いします』


Side Hayato

「すいませんがこれを陽日先生に届けてきてもらってもいいですか?」
『はーい!』
「お願いします」

渡した書類を持って彼女は走って職員室に向かっていった。

「どーだ?颯斗。あいつ使えそうか?」

ポンポン、と軽快に判子を押しながら会長がそう声をかける。
ふむ、と顎に手をあて先ほどまでの尚さんの行動を頭に思い浮かべた。

「そうですね…、真面目にやってない時の会長よりは間違いなく使えると思いますが」
「…若干トゲないか、オイ」
「気のせいじゃないですか?まあ、使える方だとは思いますけど」
「そうか、んじゃああいつをどうやって庶務にするかだよなあ」

とか俺様発言をしていたのは気のせいですね。
まあ別に彼女が庶務になったって仕事が減るのでいいですが。

「尚生徒会に入れるのか!」
「さあなー」

嬉しそうに尋ねる翼くんに対し一樹会長は曖昧にすます。

「ぬー…」

それを残念に思ったのか不貞腐れて自分の席へ戻る翼くん。
僕が処理し終わった書類を会長に渡すとまた増えんのかよ…、と会長はげんなりした。
仕事です。仕方ない。


『ただいま帰りましたー』

バーン、と扉が開き尚さんが戻ってきた。
…思ってたよりも速かったですね。そんな事を思っていたら

『陽日先生そのへんに居たんで押し付けてきました!』
「ありがとうございました」
『いえいえー、何か他にすることってありますか?』

おノリ気だな、と会長が声をかけた。
さっきの庶務にしたい発言を聞いているのでその言葉の裏は分かりやすい。

『やるなら最後までやりますよー、一応。…兄譲りの性格なんですよねえ多分』
「お前兄貴居たのか?」
『あー…はい』

尚さんは笑いながらそう言った。
でもその笑顔が悲しそうに見えたのは僕の気のせいだろうか。

眠れないままのあの子


2012.01.21 修正・加筆
title by約30の嘘
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