梓の様子がおかしくって首を傾げていたら
今日登録したばかりのメールアドレスからメール。うわ。
一応開けてみると、早速ぬいぬい会長から手伝えと。
私は腹が立つので行きたくないです、と返信して鞄を持ち教室を出ようとした所にぬっ、と影。
え、邪魔なんだけど。
見上げると、
『つ、翼…』
「ぬいぬいが尚呼んでこいってさー!」
『(あんにゃろう!!)…ごめん翼今日は私行かない』
「ぬーそれは困るのだ」
がしっ、と抱きつかれた。そしてそのままふわっとした浮遊感。
『つ、翼!』
「行くのだー!」
そのまま歩き出す。
軽々と私を持ち上げ歩く翼。ああ、やっぱ男の子なんだなあ…って違くて。
「ぬはは!!尚ちびだ!!」
『翼!降ろしてよ!!そしてちびっ子言うな!!』
「ヤだー」
そのまま降ろしてよ!ヤだ!の押し問答で気付けばもう生徒会室前だった。
そして翼は気にせずバーン!と生徒会室の扉を開けた。そりゃもうバーンといきましたよこの子。
しかしせめて降ろして欲しかったんだけどな!
翼と抱えられたあたしを見て会長と青空先輩は目をぱちくりさせていた。
「…えーと、翼くん?」
「尚つれてきたのだー!」
「えーと…えらいえらい」
私は翼から下ろしてもらいぬいぬい会長のもとまで行く。
『会長!メールしてるなら翼に頼む必要ないですよね!!恐怖体験してきたんですけど!めっちゃ高かったんですけど!』
「だってお前行かなかったら逃げてただろ?」
『……ナンノコトダカー』
お前のことなんかお見通しだ、とさらりと言いながら会長は書類に判子を押していた。
はぁ、とちょっと大仰なため息をつく。
そしてポケットに突っ込んでいたゴムを取り出し髪をくくった。
『…わかんないんで、教えてくださいね!』
「おう、任せとけ。颯斗が教えてくれるぞ」
『………青空先輩お願いします』
「分かりました。会長と翼くんはちゃんと仕事してくださいね」
分かってる分かってる、と不知火会長は曖昧な返事をした。
青空先輩ははぁ、とため息をついた。黒板はお出まししないみたいだ。
『…大変ですね、青空先輩』
「…貴女も」
その数分後。颯斗先輩からファイルの位置や資料のまとめ方を聞いているとドカーンと音が響くと同時に揺れた。
「ぬわああああ!!」
「翼あああああ!!」
ラボから二人の叫び声が聞こえた。私は恐る恐る颯斗先輩を仰ぎ見る、とだ。
「………ちょっと待っててくださいね」
氷点下の笑みを携え、ラボに向かっていった。
そのあと別の叫び声ならぬ断末魔が聞こえたのは言うまでもないことである。
苦労人×2
(ごしゅーしょーさまです…)
2012.01.21 修正・加筆