>>act.03
HRが終わり、生徒は各々に集まりだす。 僕は用意された席に座る。
隣にはさっきの女の子。 チラチラ見てくるのを感じながら机のうえで組んだ腕のなかに顔を埋めた。
うあ…眠い。
眠気が襲ってくるのはいつものことで。 でも目を瞑ったまま眠らないのもいつものこと。 いつも眠れない。 原因は分かっているけれど治ることはないだろう、多分。
そのくせ眠気が襲ってくるからムカつくわー…。
何かが肩を叩いた。
顔をあげるとさっきの優男くんと銀髪くんと女の子ちゃん。それと後ろのほうに赤髪の男の子、目も赤い。ハーフかな。
赤毛の男の子に目をとられつつ、『なに用で?』と問うと
「あの、俺らの事覚えてない?」
茶髪くんがそう言う。
『さあ、知らない』 「そっ…か」
なんで気落ちするんだ。え、なんかごめん。 気落ちさせた張本人である僕が言えたようなもんじゃないが。
『何か…期待に添えてないようでごめんね』 「あ、ううん。いいんだ、笠原さんは悪くないから。昔の幼馴染に似てたからそいつかなって思っただけ」
茶髪くんは眉を下げ笑うが、後ろの2人は明らかに落胆していた。
『残念ながらその人ではないよ』 「あ、あの!」
美人さんが自分の胸に手を当て、俯きながら。
『なに?』 「あの、友達になってくれないかな…っ?」
あらま可愛い。いやまあもちろん付き合いたいとかいう願望はないけれど。
『そりゃまあ勿論構わないよ』 「ほんと?ありがとう!夜久月子っていうのっ」 『夜久さん?』
そう言うとぱっと顔をあげて月子って呼んで!と言った。
『うんじゃあ月子』 「えっと、透…くん?」 『透で良いよ、そっちの3人も』 「ああ、じゃあ透って呼ぶよ。俺のことは錫也で良いから」 「哉太、だ」 「土萌羊、よろしくね」
なぜか哉太は悲しそうな顔をした。何でだろう?昔の幼馴染に関係あるのかな。
勘ぐっても分かるわけじゃないけど。
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