月とスピカ | ナノ






>>act.07

side Tsukiko


「もう…っ!会長ってばなんでそんなに強引なんですか!」

生徒会室に行くと、一樹会長が椅子に座って書類を見ていた。

「そーか?」
「そうですよ!きっと透くん怒って帰っちゃったんですよ!」
「欲しいんだから仕方ないだろ?俺はあいつを生徒会に入れるのを諦めてなんかないしな」

ニヤリ、と悪そうな笑みを浮かべた一樹会長。

「もう…!」

なにかを決めた一樹会長に何を言っても無駄なので、私は自分の席についた。


「よし…、終わりっ!」
「お疲れ様です、月子さん」
「ぬーん!もう書記終わったのかー?」

途中から生徒会室に来た颯斗くんと翼くん。

「翼くん手伝おうか?」
「ダ、メ、で、す。
そんなことしたら翼くんのためになりません」

そらそらの鬼いいい!!と泣きわめく翼くんに
颯斗くんはなんとでも。と微笑みながら黒板を取り出していた。

「それじゃあ私帰りますね」

鞄を持って立ち上がった私に「送っていかないで大丈夫か?」と一樹会長が言う。

「今日は哉太たちと帰るんで大丈夫です、それじゃあお疲れ様でした」

そう言うと3人からお疲れ様、と返ってきた。



「月子!!」
「ごめんね!遅くなっちゃった…」
「いや良いよ、生徒会お疲れ様」
「うっし帰るかー!」

哉太の声で四人で寮のほうへ歩き出した。


『あれ、みんな今帰り?』
「あ、…透くん!」

後ろから声をかけられて、振り返ると頭にタオルをかけた透くんだった。

「透は、風呂上がりか?」
『んー、星月学園の風呂は広くて良いね』

ばさばさと乱雑に髪の毛の水分をとっていく。

「あっ、今日はごめんね…」
『今日?なんかあったっけ…』
「一樹会長が」

そう言うとだいぶ思案して、

『ああ…あのゴキブリ並にしつこい人か…』
「わお!透言うね!」
『紛れもない事実だよ、羊。…で、例の不知火会長がどうしたの?』

若干、いやだいぶ一樹会長の扱いが酷い気がしなくもないけどこの際スルー。

「透くん怒っちゃったよね…」
『あー、別に。気にしなくて良いよ。ぶっちゃけ記憶から消し飛ばしてたし』

まあイラッとはしたけどね、と笑いながら言った。

「でも、」
『月子が気にすることじゃないよ。はいこの話題しゅーりょー』

ぱんぱんっと2回手を叩いて強制終了。

「そういえば、透の寮は何寮なんだ?」
「僕、透の部屋行きたいよ」
『えーっと……あれ、何処だっけな』

がりがりと頭を掻いて皺を眉間に寄せた。
自分の寮覚えてないって…、透くん迷子になるんじゃ…。


「魚座寮か!?」
『いや、違うよ』
「透誕生日は?」

羊くんが透くんにそう聞く。
確かに星月学園の寮は12星座でふりわけられているから、そう聞くのが手っ取り早い。

『あー…4月の15日』
「じゃあ牡羊座寮じゃないの?」

そう羊くんが言うと透くんはそんな名前じゃなかったと言う。

『場所はちゃんと覚えて、…あーあれだ。あれ』
「…え、?」

そう言って指差した先には、職員寮 兼 女子寮があった。

私と同じように残りの3人もぽかーんとしている。
透くんが私たちの様子に怪訝そうに首を傾げた。

『なに、どしたの』
「いや、えっと………?」
「………透、一応聞くけど…、
お前、性別は…?」

錫也が慎重に聞く。
その声には信じられないという気持ちも入り交じっていた。

『?女だけど…』








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