プリズムガーデン | ナノ
06もの凄い勢いで抱き着いた薙弦ちゃんはまるで猫のように木ノ瀬くんに頬を擦り寄せた。
「痴女か、お前は」
呆れた顔でそう言い放った木ノ瀬くんに薙弦ちゃんは失礼ですよ、と声を荒げた。
『梓くん以外にするわけないじゃないですか!』
「僕にもするなよ…」
うんざり、といった風にため息をついた木ノ瀬くんは薙弦ちゃんにチョップを下した。
その痛みで薙弦ちゃんは腕を外した。
涙目になりながら頭を両手で押さえる薙弦ちゃんは痛みを訴えた。
『い、いたい!今の絶対本気でやったでしょ!』
「五月蝿い。…月子せんぱーい、あれは放っといて練習しましょう」
あれって!そう喚く薙弦ちゃんをいよいよ木ノ瀬くんは無視し始めた。
薙弦ちゃんは物腐れた顔をして俺の横に来る。
「木ノ瀬くんが好きなのか?」
『好きですよ、好きです。ただ私好き過ぎるものに対しての愛情表現が過大過ぎるっていうか…』
「ああ…」
確かにババロアへの愛は半端なかったな。
『でも、梓くんの前でも後ろにでも何処かに…見える所に居れたら、良いかなあって』
そう言いながら薙弦ちゃんはえへ、と笑うのだ。
bkm