プリズムガーデン | ナノ

05
『おいしい…!!』

口の中でじんわりと広がる甘さ。ちなみに私が貰ったのは苺味のババロアだ。
隣に座る月子先輩と錫也先輩が笑う。

「喜んで貰えて良かったよ」
「錫也ね、料理上手なんだよ!だから私のお弁当も錫也お手製なの」

なるほど、家政夫さん的立ち位置というわけですか。
しかしこのババロア美味しい…。

『あの錫也先輩…。良かったら今度作り方教えてくれませんか?』
「薙弦ちゃんも料理するのか?」
『はい。でも自分が作ったのはあんまり自信がなくって…』

そう言うと、錫也先輩は俺で良ければとあの人の良さそうな笑顔で言ってくれた。

「じゃあ今度一緒に作ろう」
『ありがとうございます!』

楽しみだなあ、と思いながらまた一口ババロアを口に運ぶのと同時に弓道場の扉が開いた。

「お願いします。って、月子先輩と東月先輩と、だれって………薙弦か?」

響いた声にスプーンを落とす。先輩たちが目を丸くしているけれどそれに説明するということは頭のなかから吹っ飛んでいて振り返って、声の主の名前を呼ぶことしか頭になかった。

『梓くん!!』
「はいはい」

梓くんは弓道着姿で入り口に立ち、ため息混じりに私に返事をした。
もう一度言わせて貰うと今日の私は最強に運が良い。

bkm


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