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『やーほんと一週間もつとは思ってなかったんだよね』
「くひひっ!一樹しっかり尻に敷かれてるねえ」
褒めてくれてありがとう、と言いながら誉の点てたお茶を飲む。ん、美味い。
「それにしてもやっと解禁なのに置いてきて良かったの?引越しだってしなきゃいけないのに」
誉がお茶菓子を私と桜士朗の前に置いてゆっくりとした動作で座る。
あー良いの良いの、と私は手を上下に振る。
『事務所のことだって考えなきゃなんだから。荷物はもうまとめてたしあとは運ぶだけだけどそれはツテがあるから』
そう言うと桜士朗と誉が苦笑いというか引きつった笑顔をみせる。
『…なによ』
「いやなんだかんだで、…ねえ誉ちゃん?」
「ラブラブだよねえ…、二人とも」
学生時代からずっとそんな感じだよね、と誉は言う。
『どこがラブラブだってのよ、どこが!』
「くひひっ!一週間もたなさそうとか言ってた割に荷物まとめてるあたりとかちゃんと一樹のこと信頼してるんだねえと」
あ。と思ったときにはすでに遅かったかもしれない。
『べ、つにそんなことない…と思うんだけど』
「くひひっ無自覚な割にバカップルだよねー」
『だって荷物まとめるの面倒じゃんか…!』
はいはい、と誉が完全に子供を扱うような感じで私を宥める。
くそう、と思っていると廊下がどたどた騒がしくなった。
『あー…一樹来たかも』
「え?」
『家出るときさ、"誉と桜士郎と浮気してきます"って書いてきたからー』
言ったと同時に障子がスパーンと開いた。
「誉はまだ良いが桜士郎は駄目だ!!!!」
「えーなんでえ?」
『一樹早かったねー』
どうやら全力で走ってきたらしく息があがっている。
「ていうか浮気するな!」
「うん、最初からそれを言うべきだよね」
まったく…、と一樹は畳にどかっと胡座をかいて座る。
『冗談だよ、冗談ー』
「めっちゃ焦ったぞ…!」
っとにお前は昔から…!と恨むような目で私を見てくるけれどそんな私を好きになった一樹が悪いと思うのね。
絶対不変の恋
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