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ガラスの靴はなくても


Q,貴女を迎えに来る王子様は何タイプ?
そんな見出しが付けられた普通のファッション誌のとある診断ページ。
錫也が来るまでまだ少しありそうだな。


「あ、やってみよ。
…イエス…イエス…ノー…イエス…ノー…ノー
…えっと、Eタイプだ」


Eタイプ。
Eタイプな貴女を迎えに来る王子様は、シンデレラの王子様タイプ。
ただし、王子様は貴女がシンデレラであろうとなかろうと、迎えに来ちゃうかも!?
靴を貴女の脚のサイズに作り変えることなんて、王子様からしたら朝飯前よ!


「…えー…
なんなのコレ。
王子なんでこんなに腹黒なの。
靴作り変えたら明らかに違う話になるよ、シンデレラじゃないよ!?」
「なにがシンデレラじゃないって?」
「きゃあああああ!
…って錫也か…」


悪い、待たせたと耳を塞ぎながら錫也が言った。
我ながら驚いたとは言え叫びすぎたと思う。
でも後ろからいきなり声かけられたら誰だって驚くだろう。


「だ、大丈夫、待ってないよ」
「何読んでたんだ?
…貴女を迎えに来る王子様は何タイプ…?」
「あっ、いや、これは!」
「お前は何タイプだったんだ?」
「…E、です」


見せて、と私の手から雑誌が抜き取られて錫也がふぅん、とたまに頷きながら雑誌を眺めていた。
パタン、と静かに雑誌を閉じて、私に差し出した。


「ありがとう。
じゃあ、行こうか」
「えっ?
あ、うん」
「部屋、掃除してたら手間取っちゃってな」
「いつだって錫也の部屋は綺麗じゃない。
何処を掃除するのよ」


小姑とかを連れて来たってきっと嫌味なんて見付からないくらい部屋は常にピカピカなのに、錫也のことだから半日くらいかけて更にピッカピカにしたんだろう。
たまに自分の部屋に帰って隅に落ちてる埃とか見付けると悲しくなる。
いつものように、錫也に手を引かれて部屋に入った。


「お邪魔します」
「どうぞ。
今お茶いれるな。
あ、シンクの横にあるクッキー、そっちに持って行ってくれるか?」
「うん、いいよー」


お菓子の乗ったお皿を持ってテーブルまで行けば、錫也もティーポットとティーカップ、ソーサーの乗ったお盆を持って来た。
錫也が座った向かい側に座ろうとすると、錫也が私の名前を呼んだ。


「なに、錫也?」
「お前はここ、ほら、おいで?」


明らかに錫也の横を指差してニコニコニコニコ笑っている。


「えっと、ここでいいよ?
同じ方だと狭いでしょ?」
「…ん?
なにか言ったか?」
「な、にも…言ってません…」
「早くおいで」


うん、怖い。
そして黒い。
逆らえるわけないじゃない。
個人的に閻魔様より神様の天罰より錫也のこの黒い笑みが一番怖い。


「お、おじゃま、します」
「そこじゃなくて、こっち」


ぐいっと腕を引かれて、次の瞬間には錫也に覆いかぶさる様な、押し倒す様な、抱き着く様な体勢になっていた。
いや、錫也に抱き抱えられてるから押し倒す寸前みたいな感じだ。


「すっ錫也、ごめ、!」
「…うん、やっぱりアレ、当たってるかもな」
「アレ?」


錫也の腕の中でもごもごと動き回り漸く座り直せた。
ぽふ、と座り直した私の髪に錫也が顔を埋める。


「貴女を迎えに来る、ってやつ」
「なんで?」
「俺が例えば王子様なら、靴のサイズが違ったとしても、靴がなくたってお前を迎えに行くからさ」
「…そうなの?」
「あぁ、俺にはお前しかいないからな」


ちぅ、と錫也が髪を横に流して首元にキスをした。





ガラスの靴はなくても





(お前は俺のお姫様だと)

(貴方は嬉しそうに笑う)



望からリクエスト頂いた
錫也(腹黒、甘)
でした!
望へ相互記念として捧げます(*´艸`*)

腹黒ってなんだろうね←
もう錫也はなんだろうとお姫様に猪突猛進でいいy←

相互ありがとうございます(*´∇`*)
よろしくねノ

因みに何度でも書き直すので気に入らなかったら言って下さいww

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