オルタナティブ | ナノ
01担任から貰い受けた封筒を開いて、内心笑った。
表情では真面目な顔でありがとうございます、と担任と握手を交わした。
『受かって良かったです』
「まあお前は落ちないだろう。お前は進学校でも十分いける成績だったからなあ」
『いえ、やりたいことだってありましたし…それじゃあ帰ります。お世話になりました』
私は入学届けや合格通知が入った封筒を鞄に入れて職員室を出た。
そして下駄箱に行くと、ハラハラといった雰囲気な二人とそれをお母さんのように見ている一人。
「星ちゃん、どうだった…!?」
『合格したよ』
目を輝かせている私の妹である月子にそう伝えると、やったあ!と大喜びする月子。
「まあどうせ星のことだから心配はしてなかったけどな!」
「よく言うよ。星が落ちたら俺どうしよう…とかさっきまで言ってた癖に」
「うううるせええな!ていうかわざわざ言ってんじゃねえよ錫也!」
まったくツンデレだなあ、なんて思いながらはいはいありがとうと言っておいた。
「それじゃ帰ろう!ママたちに言わなきゃ!」
『そうだねえ、早く帰って寝たい』
心の底から思っていたことを言うと哉に「お前…」と呆れた目で見られた。
私は自分の気持ちに正直なだけだ。
そうだから。
自分の鞄のなかにある封筒の色が三人と違うのもそういうことだ。
違わせた道
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