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呼ぶ
『うぅ…』

視界と頭がぼんやりする。
なんか久し振りに熱なんて出してしまった気がする。

『冷え、ピタ…』

昨日貼ったものがぬるくなっていて効果があまりなくなってしまった。

『…』

ああもう、寂しいなと柄にもなく思う。
中学時代には家だったからお母さんが居て、おかーさーんと呼んだら来てくれた。
でも星月学園に来てからは寮生活でそんなことは出来なかった、というか出来ない。

先程からたまにくるメールが癒しとなっていた。
また一通きたメールに目を通して私はそのまま寝てしまった。


『う、…』

じんわりと、額から冷気を感じる。
あれ、私冷えピタ変えたっけ。それになんか良い匂いするし、見慣れないビニール袋がテーブルの上にあるしなんだこれ。

「あ、起きてやがる」
『たっ、かふみ…』

なぜここに。というか学校は。疑問が顔に出ていたらしく隆文は学校はもうとっくに終わってるっつの。と呟いた。

「どーせお前のことだから爆睡なんだろ」

ばーか、そう言いながら私の頭を小突く。地味に痛い。

『てゆうかなんでここに…』
「優しい幼馴染み様が見舞いに来てやったんだよ、ほら食え」

そう言って出してきたのはお粥だった。え、隆文作ったの…?

「俺は温めただけ、作ったのは東月ー」
『ああ…、なら安心して食べれそう…』

いただきます、手を合わせてからレンゲで掬ったお粥はやっぱり美味しかった。


「ほら寝ろ、片付けといてやるから」
『え…、いいよ悪い』
「今さら遠慮すんなよなー」
『ごめん…』
「はいはい良いから寝ろって」

そう言って隆文は私に毛布をかけた。

『おやすみ…』
「ん、オヤスミ」

目を瞑ると、隆文が側から離れていく気配がしてカチャカチャという音もしだした。

『…た、か』

何の気なしに呟いた、つもりだった。
そうするとキュッと水道を閉める音がして、こっちに寄ってくる隆文の姿。

「なんだよ?寝ろって言ってんだろ?」
『あ、うん、はい』

いやまさか、聞こえてたなんて。
しかも反応してくれるなんてちょっと嬉しかった、んですよ。…言わないけど。
君の名前を呼んだ


◎犬飼隆文/柚原さん
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