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輝く
『一樹先輩!』
「う、お!」

後ろからの衝撃に俺は前のめりになるが頑張って踏みとどまる。
これが翼なら叩くところだが、叩く以前に怒れるわけがない。

俺にぎゅーっと抱きついて離さないこの彼女。

「どうした?」
『先輩が見えたから抱きつきたくなったんです!』

えへ、と笑いながら俺の背中に抱き着く彼女を思いっきり頭を撫で回したい気持ちに駆られるが如何せんなまえは背中に抱きついているのでうまいこと行かない。

「なまえー、ちょっと離せ」
『ええ…』
「いーから」

頬を膨らませて離れるなまえに仕方ねーな、と思いつつ身体を回して抱き締める。

『わ!』
「これなら良いだろ?」

正面から抱き着いて頭を撫でる。気持ちいいのかなまえは俺の腕のなかで目を細めている。
そのほんわりとした雰囲気に俺は仄かな光と被って見えた。

「なまえは月みたいだな、」
『へ?』

俺の言っていることがよく分からなかったようでなまえは怪訝そうな顔で上を向く。

「夜空で一際輝く月だ。月があるからどんなに真っ暗でも道が見える。…あ、いやでも新月もあるか」

俺が撤回しようとするとなまえはじゃあ一樹先輩は太陽ですね、と微笑んだ。

『だって月は太陽がないと光を放つことさえ出来ないんですよ?』
輝くための唯一無二


◎不知火一樹/結愛さん
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