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秘める
「なまえさん」

彼に名前を呼ばれるとどうにも胸が高鳴る。

『は、颯斗くん』

それとどうにもどもってしまう。

「明日の生徒会の時間が変更になりましたのでお伝えしておきますね」
『あ、ありがとう!』
「いいえ、では忘れないように気をつけてくださいね」

にこりと笑った顔を見ると顔に温度が集まる。
おそらくこれが恋というものなのでしょう、と乙女チックに思ってみた。


『あ、あれ…?』

颯斗くんに言われた時間に来たはずなのになぜか生徒会室には誰も居なかった。
否、颯斗くんだけが居た。

「こんにちわ、なまえさん」
『え、あ…こんにちわ。あの、颯斗くん生徒会は…?』

本来なら月子ちゃんと翼くんが居るはずで疑問に思ったことをぶつけてみる、と。

「すいません、なまえさん。実は、嘘なんです」
『…え?』

嘘、って。え?なんで?
颯斗くん私に恨みでもあるのかなあ。どうしよう、ほんとにそれなら一秒で泣ける。

「実はなまえさんと二人きりになりたくて、こんな悪戯をしてしまいました」
『………え?』
「どうか許してくださいね」

そう言ってにっこりと笑った颯斗くんが私の前にたつ。
い、今なんと申したの颯斗くん。私の耳が聞こえた言葉を勝手に欲しい言葉に変換なんてしてないよね。あれ、じゃあこれ夢なのかな。

「なまえさん、実は僕貴方にだけ隠していることがあるんです」
『え、はい』
「月子さんや一樹会長、翼くんにまで早々にバレていて貴方にバレていないか正直不安なのですが…」
君には隠し通せた秘め事

(貴方が好きです、誰よりも)


◎柚原さん/青空颯斗
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