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焦がれる
「(なに喋ってんだろな…)」

ぼんやり。まさに机に肘をつきながら教室の外、グラウンドを眺める。

そこには楽しげに喋る月子となまえ。合同体育と見た。

このクソ暑いなか、なまえたちは外でソフトボールをするらしい。

うちには女子は月子となまえしか居ない。
従って二人だけ別の授業とは出来ず、男子のなかに混ざらなければならない。

危ねぇよなー…。
過保護な自覚はある。東月には負けるが。

そんなことを考えながらまだ見ているとなまえと月子に東月たちが近付いて話しかける。
月子も、なまえも笑顔でそれに応えて会話が広がる。


そうしているうちに、東月がなまえの頭を撫でた。
なまえも嫌がる素振りを見せず撫でられている。

それを見てぶわっと心の中に醜い感情が広がった。
ああ、くそ。はあ、とため息をついて突っ伏す。

じくじくと言葉に表しずらい擬音が、痛みが胸で疼く。
この痛みがするのは決まってなまえのことで。つまりはそういうことなんだろうな。
焦がれる
(願うなら、俺の腕のなかに。)

◎不知火一樹/夏深さん
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