200000 | ナノ
惹かれる
「えっ!?キスもしてないの!?」
『ちょ、月子ちゃん声がでかい!』

慌ててその口を塞ぎにかかる。幸いなことに教室は騒がしくて他の人には聞こえてなかったようだけども。

「ご、ごめん…。でももう付き合って一ヶ月でしょ?」
『うん、でもほら…哉太くん照れ屋だし…』

今時あんなシャイボーイそうそう居ないよ…。
あ、居たな私の知り合いの小さい大人に。

「でもなまえちゃんはして欲しいんでしょ?」
『それは、まあ…魅力ないのかなって思っちゃったりしないこともないけど』
「そんなことないと思うけどなあ…」


そんな会話をしたのが確か三日前。
なぜ、こんなことになっているのでしょうか…。
私はベッドの上で正座をしながら思う。

「…」
『…』

無言とか勘弁して、哉太くん。
哉太くんは自分から私の部屋に来たのに口を結んで私を見ている。

『あ、あの哉太くん…?どうかしたの…?』

私が恐る恐る話しかけると哉太くんは大仰に「おおっ!?」と反応した。

『何か用があったんではないでしょうか…』
「いや、あー…その、用があったっていうか、」

今の哉太くんにはしどろもどろという言葉がぴったりだろう。
そうして意を決したのかこっち来てと私を呼んだ。
首を傾げながら哉太くんの方へ寄ると私はいきなり抱き締められた。

『か、哉太くん…?』
「ごめん、今はこれで勘弁」

な、何のことだろう…。
私が疑問を頭に浮かべていると哉太くんが「月子から聞いた」と言う。

『へ…』
「多分、まだ無理だから、その…キスとかは」

月子ちゃん言っちゃったの!?うわああ恥ずかしすぎる…!

『いやあの、えっと』
「だから今はこれで勘弁」

そう言ってまたさらに抱き締める力を強める哉太くん。
顔をあげて哉太くんの顔を見ると思わず笑ってしまった。

『哉太くん真っ赤…』
「だああ!見んなよ馬鹿!忘れろ!」

いやそんなこと言われても。
確かにキスはして欲しい。けどまあゆっくりで良いかなあなんて思いながら私は哉太くんの背中に腕を回した。
ようはどんな哉太くんでも好きなのですよ、つまりはね。
惹かれる

◎七海哉太/桜星さん
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -