200000 | ナノ
握りしめる
「ほら、だから言っただろ」
『う、るさい』

俺がそう言うと忌々しげに俺を睨むなまえ。
今日は荒れてんなあ、なんて思いながら扉を背凭れにして立つ。

『ど、っか行って…!』
「断る」

ベッドで泣きべそかきながら暴言を吐かれたってその威力は良いとこいつもの3分の1程度だ。

『っ、なに、笑いに来たの』
「この優しい幼馴染み様がそんなことする訳ないだろ。つけこみに来た」

は?と間抜けな声をあげるなまえ。
意味が分かってないようだ。

分からない方が好都合かもしれない、分からない内に俺の手の内に落ちれば良いんだ。
ベッドに近寄り、なまえの顎を持ち上げて涙まみれの目に視線を合わす。

「言っただろ?あいつじゃ、勿体ないって」
『っ…』
「言っただろ?お前じゃ無理だって」

彼女が居るとは言わなかった…!そう嘆くなまえに知らなかったと誤魔化した。
嘘に決まってる、全てはこの瞬間のために。

ぼろぼろになったお前を手に入れるために。

「もうお前は俺じゃなきゃ無理なんだよ、理解しろ」
『っ、』

怯んだ隙に腰まで腕を回して、口づけた。
君の弱さも、握りしめる


◎不知火一樹/みゆうさん
なんだか狂愛チックに^^;
書き直し受け付けておりますのでお気軽に!
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