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見つける
僕は生まれつき影が薄い。
何故か、そんなこと知るわけがない。

だから生んだ親でさえも僕を見つけることは容易くはなかったらしい。
学校の友達なんて殊更に、だ。

かくれんぼは間違いなく優勝。むしろ参加していたことさえ忘れられる始末。
プリントなども回されず抜かされたことが多々あった。

しかも悪意があってされるわけではないので殊更に悪い。

もちろんそれが悲しくないかと問われれば悲しくないわけじゃなかった。
僕なんか居なくても良いんじゃないか、と。

でも。


『テツくんみーっけた!』
「え、っ」

かくれんぼはとっくに終わったと思っていたのに。
だってこんな真っ暗で、隠れて泣いていた僕を見つけるなんて。
やったーなんて呑気に喜んでいたその子は幼なじみのなまえだった。
ただ一人。親でも見つけられなかったの僕を見つけたのはなまえだった。
それからなまえは僕の大切な女の子になったのだ。



『テツくーん!』
「なまえ、どうかしましたか?」

中学に入っても幼なじみという関係は切れず、自主練習中の僕をなまえが訪れた。

『アイス!』

そう言って差し出したのはビニール袋。
付き合って貰っていた青峰くんもこちらにやって来る。

「気が効くじゃねえかみょうじー」
『そろそろお疲れかなーなんて思って』

まあ自分のも買ったけどね!なんて言いながら袋から自分用であろうパプコを取り出した。

すると彼女は割った半分を僕に差し出した。

『テツくんはこれ半分食べてから私と一緒に帰ろうね』
「…ばれてましたか」
『んー…、具合悪いかなーぐらいには』

いつでも彼女には見つかってしまうのだった。
六等星を見つける

(どんなに淡くても、彼女はきっと見つけてくれる)


◎黒子テツヤ
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