俺は多分すっげー器用だと思う、勉強以外は。
だからこんなにうまくいかないなんて初めてで。
「なまえっちー!」
『ふお!』
俺が後ろから抱き着くとなまえっちは面白いように声をあげて驚いた。
『き、黄瀬くん…!』
「おはようッス!」
そういうとぎこちなく笑っておはよう、と言ってくれた。
『今日も朝練?』
「そうなんッスよー!赤司っちホント鬼ッス!」
「だれが鬼だって?」
冷ややかな、声がした。気づけば背中に汗がたれている。
『赤司、くん』
「おはよう、なまえ。で、黄瀬。誰が鬼だって?」
にっこり笑ってそう言う赤司っちに俺は誤魔化す選択肢をあきらめかけた。めげちゃ駄目ッス。
今日は俺の命日かもしれない。
「な、なんでもないッスよ!ね、なまえっち!」
『…』
助け船を求めた。…目を逸らさないで欲しいッス!
嫌な予感しかしないが赤司っちの方へ恐る恐る目を向ける、と恐ろしいぐらいの笑顔でこう言い放つ。
「黄瀬は放課後の練習メニュー3倍。なまえはこっちおいで」
あ、俺死んだ。そう思っていた間に赤司っちがそう呼んだ。
彼がそう言ったら彼女に限らず誰でも行かなければいけない。それでも。なんて思う間に俺の腕からなまえっちが居なくなり、当然のように赤司っちの横に並んだ。
当然のように、なんかじゃない。当然なんだ。
「何もされてないか」
『何も心配し過ぎだよ赤司くん』
「…そうか。それよりいい加減名前で呼んでくれ」
『っ、征、くん』
良し、そう言って笑いながらなまえっちの頭を撫でる主将。そして今度は俺に目を向けた。
「…黄瀬、早く練習に戻れ」
さっきの笑顔は崩れ去りキッときつく睨む目は主将としての言葉じゃなくただの彼氏としての言葉に思えた。
隠した想い
絶対的な彼に敵うはずもないのに積もるものは、一体どうすれば良いのだろう。
(隠すのだって器用に出来たら困ることなんて一個もないのに。)
◎黄瀬涼太
口調が分からない
だからこんなにうまくいかないなんて初めてで。
「なまえっちー!」
『ふお!』
俺が後ろから抱き着くとなまえっちは面白いように声をあげて驚いた。
『き、黄瀬くん…!』
「おはようッス!」
そういうとぎこちなく笑っておはよう、と言ってくれた。
『今日も朝練?』
「そうなんッスよー!赤司っちホント鬼ッス!」
「だれが鬼だって?」
冷ややかな、声がした。気づけば背中に汗がたれている。
『赤司、くん』
「おはよう、なまえ。で、黄瀬。誰が鬼だって?」
にっこり笑ってそう言う赤司っちに俺は誤魔化す選択肢をあきらめかけた。めげちゃ駄目ッス。
今日は俺の命日かもしれない。
「な、なんでもないッスよ!ね、なまえっち!」
『…』
助け船を求めた。…目を逸らさないで欲しいッス!
嫌な予感しかしないが赤司っちの方へ恐る恐る目を向ける、と恐ろしいぐらいの笑顔でこう言い放つ。
「黄瀬は放課後の練習メニュー3倍。なまえはこっちおいで」
あ、俺死んだ。そう思っていた間に赤司っちがそう呼んだ。
彼がそう言ったら彼女に限らず誰でも行かなければいけない。それでも。なんて思う間に俺の腕からなまえっちが居なくなり、当然のように赤司っちの横に並んだ。
当然のように、なんかじゃない。当然なんだ。
「何もされてないか」
『何も心配し過ぎだよ赤司くん』
「…そうか。それよりいい加減名前で呼んでくれ」
『っ、征、くん』
良し、そう言って笑いながらなまえっちの頭を撫でる主将。そして今度は俺に目を向けた。
「…黄瀬、早く練習に戻れ」
さっきの笑顔は崩れ去りキッときつく睨む目は主将としての言葉じゃなくただの彼氏としての言葉に思えた。
隠した想い
絶対的な彼に敵うはずもないのに積もるものは、一体どうすれば良いのだろう。
(隠すのだって器用に出来たら困ることなんて一個もないのに。)
◎黄瀬涼太
口調が分からない