「別れて、ほしいんだ」
呼び出して、俺が放った言葉になまえは目を丸くさせてそうしてそれから顔を歪めた。
『…私のこと、嫌いになりましたか?』
「そんなんじゃない、けど…これじゃダメだと思ったんだ」
俺はお前と月子を重ねていたから。
俺がそう言うとなまえは顔をうつむかせた。ああ、やっぱり、傷付けた。
「だから、」
『知ってましたよ…、そんなこと』
「…え」
それでも良いから一樹先輩の隣に居たいと思ったから告白したんです。
震える手で俺の袖を掴んでそう訴えるなまえ。ああもうすげえ良い子なのに、なんで俺そんなの気づかなかったんだろう。自分が鈍感すぎて嫌になる。
『私、ちゃんと月子じゃなかったですか…?だったら、ちゃんと"月子"になる、からっ』
だから離れていかないでください、私の隣に居てください。
ぼろぼろと溢れる涙が床を濡らして、違うそんなこと言って欲しかったわけじゃない。
別れるとは決めたことだが一回だけ慰めるためだと自分に言い訳をして小さな体を抱き締めた。
「違う、頼むからそんなこと言わないでくれ、俺は"なまえ"でいてほしいんだ」
『だって、そんなの"月子"じゃない…』
「俺はお前を、好きになりたいんだ」
そう言うと腕のなかの肩が小さくびくりと跳ねた。
そうして小さく「私でいいんですか」と俺に問いかける。
「最初は確かにお前と月子を重ねた。お前にも月子にも最低なことをした。だけどいつの間にかお前じゃなきゃ駄目になってた。月子の笑顔よりなまえの笑顔が欲しくなったんだ。だから、お前が良い。なまえじゃなきゃ、駄目なんだ」
俺がそこまで言い切るとなまえが泣き声をあげて俺に抱きついた。
「だから今度は俺から、云いたいんだ」
『っ…ふ、え』
「ごめん、いっぱい泣かせたな。辛い思いもさせたよな」
そう言うとなまえは「胸に押し付けられていた頭を横にふるふると振った。
『先輩が居てくれるなら、大丈夫です…』
「…なまえが、好きだ」
次は想いを重ねよう
◎不知火一樹/優希さん
呼び出して、俺が放った言葉になまえは目を丸くさせてそうしてそれから顔を歪めた。
『…私のこと、嫌いになりましたか?』
「そんなんじゃない、けど…これじゃダメだと思ったんだ」
俺はお前と月子を重ねていたから。
俺がそう言うとなまえは顔をうつむかせた。ああ、やっぱり、傷付けた。
「だから、」
『知ってましたよ…、そんなこと』
「…え」
それでも良いから一樹先輩の隣に居たいと思ったから告白したんです。
震える手で俺の袖を掴んでそう訴えるなまえ。ああもうすげえ良い子なのに、なんで俺そんなの気づかなかったんだろう。自分が鈍感すぎて嫌になる。
『私、ちゃんと月子じゃなかったですか…?だったら、ちゃんと"月子"になる、からっ』
だから離れていかないでください、私の隣に居てください。
ぼろぼろと溢れる涙が床を濡らして、違うそんなこと言って欲しかったわけじゃない。
別れるとは決めたことだが一回だけ慰めるためだと自分に言い訳をして小さな体を抱き締めた。
「違う、頼むからそんなこと言わないでくれ、俺は"なまえ"でいてほしいんだ」
『だって、そんなの"月子"じゃない…』
「俺はお前を、好きになりたいんだ」
そう言うと腕のなかの肩が小さくびくりと跳ねた。
そうして小さく「私でいいんですか」と俺に問いかける。
「最初は確かにお前と月子を重ねた。お前にも月子にも最低なことをした。だけどいつの間にかお前じゃなきゃ駄目になってた。月子の笑顔よりなまえの笑顔が欲しくなったんだ。だから、お前が良い。なまえじゃなきゃ、駄目なんだ」
俺がそこまで言い切るとなまえが泣き声をあげて俺に抱きついた。
「だから今度は俺から、云いたいんだ」
『っ…ふ、え』
「ごめん、いっぱい泣かせたな。辛い思いもさせたよな」
そう言うとなまえは「胸に押し付けられていた頭を横にふるふると振った。
『先輩が居てくれるなら、大丈夫です…』
「…なまえが、好きだ」
次は想いを重ねよう
◎不知火一樹/優希さん