200000 | ナノ
抱きしめる
「なまえー」
『す、ずやセンパイ』

やばいカタコトだったかもしれない。
ああほら錫也先輩笑ってるううう!恥ずかしさに顔を覆うと錫也先輩は見たいと言って私の両手を掴んだ。

『(ひいいいい…!!)』
「うん、可愛い」

心臓が飛び出しそうな私を放って錫也先輩は満足げに微笑んだ。
ちなみに錫也先輩とはたった三日前ぐらいから付き合いだした仲である。

『な、なにようでショウカ』
「ん?会いたかっただけだよ」

にっこり上機嫌で言う錫也先輩に私は恥ずかしさで口をぱくぱくするしかない。
クラスメイト達よ。甘々でごめんなさい。でも私もくっそ恥ずかしいの!

『あ、あの錫也先輩…?』
「ん?」

いつの間にか手を繋がれている。ええーなんだこれ。

「ま、会いたかったっていうのもあるけど…ご飯、食べるだろ?」
『は、はい』

なぜだ。断りきれない威圧感があった。
そして私は手を繋いだままに連行された。


ぱんと両手を合わせる。錫也先輩お手製ご飯を食べ終えた。

『ごちそうさまでした!』
「はい。卵焼き甘くなかったか?」
『私甘いの好きなんで美味しかったですよ?』

そっか、と笑ってお弁当箱をしまう錫也先輩。
ちらりと時計を伺うと昼休みがあと5分で終わる。

少し名残惜しいようなそんな気持ちが私を襲う。
ぐ、でもサボり駄目!私は拳を握りしめた、ら。

「まだ、離れたくないな」

錫也先輩に後ろからぎゅうっと抱き締められた。
途端、また私の顔が赤くなる。

『あ、え、う…!』
「サボっちゃおうか?」

悪戯するみたいに笑った錫也先輩のその甘いお誘いに乗ってしまう私はきっともう、
抱き締められた少女
錫也先輩しか駄目な体質にされてしまったのだろう。


◎東月錫也/夏希さん
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