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溶け合う
『一樹さーん、朝ですよー』

一人分のスペースが余った黒いベッドで眠る塊を揺らす。
何度か揺らすと「ぅぐ…」と変な唸り声が聞こえた。

「なまえ…、普通はそこはキスして起こすとこだろ…」
『おはよう一樹さん!やだです!』

笑顔で言うと一樹さんは「俺今ので傷付いたちょー傷付いた」そう言ってまたベッドに沈んて布団を被る。
なにこの人、めんどくさい。

『もー…一樹さん、じゃあご飯要らないんですね』
「い、要る!分かったごめん!」

そう言って布団から顔を出す一樹さん。

『おはようございます、旦那さん』
「んー…はよ、奥さん」

一樹さんは背伸びをしながらくぁっと欠伸を出す。
私と一樹さんは一昨日入籍したばかりだ。
つまり世間で言う新婚さん。
でもその前にも同棲していたので別に変わったとことかあんまり無いけど。


ご飯を食べ終わり、二人でソファーに座り寛ぐ。

「今日、何するんだ?」
『何しましょうかねー、一樹さんは?』

俺も今日は暇だな、あら珍しい。

「どうする?出かけるか?」
『んー…、たまには一樹さんと二人がいいです』

そう私が言うと一樹さんは私とお揃いの指輪が嵌まった手で頭を撫でた。

『む…、何ですか』
「いやあ、可愛いなって思ってな」

へにゃっと生徒会長の威厳はどこへやらの顔で笑っている。
そして何を思ったかおらっと声をあげて私を抱き締める。

『みぎゃ!』
「なんだその声ー」
『いっいきなり抱き締めるからですよ!』

はいはい、そう言って更に力を強める一樹さん。
あー幸せ…、噛み締めるようなその言葉に結局私も体を預けるのだった。
甘さに溶け合う朝

私もですよ、そう言うと一樹さんがその返事に愛してると返したのだった。


◎不知火一樹/悠さん
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