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拗ねる
「なまえ、」
『あ、ちょ…ごめん待って』

私はバインダーを持っていたので片手で宮地を拝む。
私はサッカー部のマネージャーなので、インターハイ予選を目前に控えた今、日頃のデータをまとめてスタメンを決めていた。

隣には粟田と梨本。
二人とも練習を抜けて私に付き添ってくれているのでそれを止めて宮地の方へ行くのは気が引けた。

『その話、どのくらいかかる?』
「10分ほどかと思うが、」
『う、ちょっと待ってて!直ぐ終わるように努力はする!』

そう言ってまたバインダーの方へ集中する。

「え、でMFはどうすんの」
「あー…!こいつとか最近調子良いもんな…」
『え、でもこの子も1年にしては凄く良いと思うけど』

どうすっかなー…なんて顔をあげた粟田が突然「ぶふっ」と吹いた。

「は、なに…ぶはっ!」
『は!?ちょっとなに!』

二人は私の後ろを指差してお腹を抱えて笑い出した。
後ろには宮地が居たはずだけれど、と振り返る。

『…宮地』

なんとびっくり。
あの堅物がそっぽを向いて片方の頬を膨らましていた。
その表情は拗ねているとしか言い様のない顔だった。

私が名前を読んだのに気付いたのか宮地がぱっと顔をこっちに向ける。

「はー笑った…、あー、みょうじ良いよ後で」
「珍しいモン見れたしなー」

じゃそういうことで、と二人は笑いながらグラウンドの方へ走って行った。

『…宮地』
「…」
『拗ねてたの?』

私が率直に聞くと宮地は言葉を詰まらせた。

「…すまない。我が儘はあまり言いたくなかったんだが」
『そういうのは我が儘じゃないよ、甘えるって言うの』

そう言って私が宮地を抱き締めると宮地は私の肩に頭をのせた。

「…カッコ悪いな」
『そんな宮地も好きだから良いよ』
構ってもらえなくて拗ねてました。
(なんて口に出すのは流石に無理だったんだ)


◎宮地龍之介/小野さん
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