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悩む
確かに俺は不在中という札を保健室の扉にかけたはずだった。
だのに、鍵は開いてるわカーテンは閉まってるわ挙句の果てにはカーテンの向こうからすよすよ寝息が聞こえてくるもんだから結局導き出される答えは一つだ。

俺はため息を一つついてカーテンを開いた。
予想通り、呑気に寝顔を晒しつつ寝息をたててる馬鹿が居た。

「お前はー…」

せめて鍵を閉めろと声を大にして俺は言いたい。
ほぼ男子校のようなこの星月学園で呑気にも程がある。

「なまえ、なまえ起きなさい」
『んにゃ…う…』

揺らしても唸って体の向きを変えるだけで起きる気配がない。
というか、動いたことで、スカートが、翻って。

「(っ、あ〜…!!)」

なんだこのやろう…!
立場上なまえとの関係は生徒と教師だ。
だがその実、恋人関係でもある。

つまり俺はたった今理性との戦いを強いられているわけである。

『こ、たろ…せんせぇ…』

途切れ途切れな小さな声で俺のなまえが紡がれる。
起きたのか、と思って振り返るとふにゃりと笑顔が見えてまた寝息。

「(寝言か…)」

ああもう、寝言で俺の名前を出すんじゃない。
無邪気な動作に悩む

俺は出来るだけ直視しないようにして露になった太股にブランケットをかけた。


◎星月琥太郎/本宮遥さん
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