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懐かしむ
「なにしてるんですか?」

ベッドの上に寝転ぶ私の上に梓くんが乗っかってきた。
普通は「重いよー」とか言うところなのだろうけどほとんど苦しさを感じないのが梓くんクオリティ。

『昔のね、アルバム見てるの』
「あ、ほんとだ」

私の腕の先を追ったのか梓くんが笑ったように感じた。

『学園は、ホントに楽しかったなあって』
「そうですね。そして僕はなまえ先輩に出逢えた」
『…うん』

今で確か交際は5年目になる。
私は少しの恥ずかしさで梓くんから目を反らす。そうすらると梓くんがくすり、と小さく笑った。

「ホント照れ屋な先輩可愛いです」
『か、からかわないでよ…』

ほんとですよ、念押しのように言う梓くん。
昔から梓くんはタラシな部分があった。(私限定で)

「でも先輩、折角僕の休みなのに放置なんて可哀想じゃないですか」
『…あ、』
「寂しかったんですよ?だから先輩からキスしてくれないと僕きっと死んじゃいます」

結局して欲しいだけじゃないか…!
とは言い切れなかった。確かに私も放置し過ぎてたかもしれない。

「ほら先輩、早くー」
『わ、分かったから目瞑ってー!』
昔を懐かしむ暇もないくらい
(今の、そして未来の貴方に夢中)

◎木ノ瀬梓
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