◎"振り返る"の対
『せーちゃん、ねえ、せーちゃん、』
私がいくら呼んでも彼の姿は青みがかったウェーブの髪から変わらない。
ねえ、聞こえてないの?
「せーちゃん、せーちゃんってば」
さっきより近付いて、更に声を大きくしてみたのにそれでもせーちゃんは振り向いてくれない。
「こっち、向いてよ…、せーちゃん…!」
視界が、涙で滲んだ。青も滲んで、また遠くなっていく。やだ待って、おいてかないで。
目元を擦ってまた追いかけようとしたら後ろからぐいっと引っ張られた。
そうして閉じ込められたのはその腕のなか。
もう追いかけなくていい、そう囁いた彼に私はその腕に顔を埋めた。
きみを追いかけるのはもう疲れた
◎幸村精市
『せーちゃん、ねえ、せーちゃん、』
私がいくら呼んでも彼の姿は青みがかったウェーブの髪から変わらない。
ねえ、聞こえてないの?
「せーちゃん、せーちゃんってば」
さっきより近付いて、更に声を大きくしてみたのにそれでもせーちゃんは振り向いてくれない。
「こっち、向いてよ…、せーちゃん…!」
視界が、涙で滲んだ。青も滲んで、また遠くなっていく。やだ待って、おいてかないで。
目元を擦ってまた追いかけようとしたら後ろからぐいっと引っ張られた。
そうして閉じ込められたのはその腕のなか。
もう追いかけなくていい、そう囁いた彼に私はその腕に顔を埋めた。
きみを追いかけるのはもう疲れた
◎幸村精市