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夢見る
『ほ、ぁ』

随分と間抜けな声をあげてしまったが寝起きなので仕方ない。
私は体を起こそうとしたら、お腹に巻き付いた腕がそれを阻止した。
…寝ているというのになんとゆう力だ。
そして私が動いたせいで動きを束縛していた張本人がうっすらと目を開いた。

「ん、…はよ」

高校三年から交際五年目に突入しようとする彼氏、錫也の家に泊まりに来ていたのだ。
なんでこの人寝起きこんなにエロイんだろう。

『おはよ』
「…いま、なんじ?」

まだ思考がぼんやりとしているのか舌っ足らずな口調が可愛いなあなんて思いながら時計を見ると朝の4時だった。
それを伝えると「随分早いお目覚めだな」なんて笑った。

『んー…、夢、見たの』
「なに?怖い夢見たの?」

違うよ、と伝えるとじゃあどんな夢?って聞かれて困る。

『覚えてないの。でも、すっごく幸せな夢』
「?幸せな夢なのに起きたのか?」

うん、横になっている彼の胸に飛び込んで抱き着く。
錫也は何も言わず頭を撫でた。

『幸せだったの。でもね、私の幸せは今なの。錫也の隣に居ることなの。だから夢の中でここじゃないーってなったの』

だから多分目が覚めちゃったんだと思う。

『起こしちゃってごめんね?錫也』
「ううん、いーよ。嬉しいから」

そう聞こえて思わず見上げると錫也の顔はかなり緩んでいた。
幸せな夢を見る
(でも幸せな夢だったのだから、きっと夢の内容も貴方のこと)

◎東月錫也/陽さん
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