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惑う
後ろから、こた先生とみょうじに呼ばれたのでなんだ、と振り返ろうとすると体を押された。

体を回転させようとしていたためバランスがうまくとれずそのまま後ろへ倒れる。
後ろかベッドだったことは幸いだった。
驚きのあまり声もなにも出ずに固まっていると腹のあたりにみょうじが乗る。
おいこいつ何しようとしてるんだ。

『せんせい、』
「………なんだ、みょうじ」

俺がそういうと幼い顔を歪めてばか、なんて言われる。

『どうして、なまえって呼んでくれないんですか…』
「どうしてもなにも、」

私先生の彼女じゃないんですか?なんて言われる。
いやその前にここ学校なんだ。こんな場面他の奴らに見られたら俺は咎められるのだろうか…。

「…そんなの言わなくても分かるだろ」

このままだと俺の理性が崩壊しそうだったのではやくどいて欲しいで適当な言葉で流そうとしてもどうやら無駄だったようだ。

『だって先生なんにも言ってくれないし…!』

というか押し倒すとかほんとこいつ何考えているんだ馬鹿なのか。
これじゃあ何されたって文句言えないだろうが、あほ。

「好きだ」

なまえの頬に自分の手を添える。いきなりでびっくりしたのかなまえはびくりと反応して目を瞑った。

「…というかお前だって先生って呼んでるじゃないか」
『…琥太郎さん』

俺がよし、と言ってなまえの頭を撫でるとえへへ、とふにゃりとした笑顔を見せた。

「お前なんでまたこんな行動に」
『えっと、…水嶋先生が「たまには琥太にいの焦ったとこ見たくない?」と言われまして…』
「…あいつはほんっと」
『で、でも先生全然焦らなかったし!』
「…」

思わずはあとため息をついてしまった。
鈍いのって楽なような面倒なような、ものすごく複雑な気持ちに陥った。
惑う
(隠すのが上手いだけだということは秘密にしておこう)


◎星月琥太郎/あいりさん
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