いっしゅうねん! | ナノ


『おはよ、ござ…ます』

目をごしごしと擦りながら寝室から出てきたのはなまえだった。
俺は俺でトーストを焼く準備を始める。

「顔洗ってこい」
『う〜…今、寒いから顔洗いたくない…』
「寒いから目ぇ覚めるんだろ。ほら、飯作ってやったからさっさと行って来い」

そう言うと若干拗ね気味に洗面所へ向かった。
低血圧なのか朝が弱いのは同棲しはじめた当初から変わらない。
朝ごはんを作るのが俺で、昼と夜を作るのはなまえ。

偶には、なまえの声で起きたいモンだと思うが恐らくそれが叶うことはないと思う。
そんなこと思いながら焼けたトーストを皿に乗せていると洗面所からなまえが戻ってきた。

「目ぇ覚めたか?」
『う…はい、』
「よし、じゃあ食べるぞー」

席につかせて、俺も向かいに座り一緒に手を合わせていただきます。

『あ…一樹さん、蜂蜜ない…』
「あ、悪ぃ冷蔵庫のなかだ」
『もー…私蜂蜜ないと困るのに…』

膨れっ面で冷蔵庫の方へ行き開け閉めする音がする。
嬉々とした表情でトーストに蜂蜜をべったり塗って食べる。俺はブラックのコーヒーを啜りながら毎度の光景にあきれる。あ、蜂蜜付いてる。

「よくもまあ…そんな甘いモンべったり塗るよなあ…」
『む、そんな事言うなら一樹さんのブラックだって意味分かんないですし』
「目覚ましには良いぞーこれ」

そう言いながらコーヒーカップを少しあげる。

『蜂蜜だって、目覚まし効果ありですよ!…私的に、』
「確証ねえなあ…それ」
『だから私個人はあるだけですよ!』

ふーん、と言うともう良いですとそっぽ向いて蜂蜜べったりトーストをまた食べ始める。
俺は椅子から立ち机から身を乗り出す。

『へ…、』
「………甘、」

やっぱ目覚ましとか無理だろ、これは。

『な、なな舐め…っ!?』
「ああでも、」
はちみつ味のキスで起こしてよ
(お前が朝これ食ってキスしてくれたらばっちり)(黙ってください変態!)


::
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -