いっしゅうねん! | ナノ
視線
席替えをした。
運悪く教卓の前の席。哉太からは大爆笑される始末。
「なまえざまあ!」
『哉太しね』
「うるせー!散々後ろの席に陣取りやがっていい気味だ!」
そんな哉太は窓際の一番後ろ。
そこは私の特等席だったのに!ばーか!哉太のばーか!
何よりも切ないのは月子と錫也と羊(と哉太)が総じて窓際の一角というミラクルな席だということだ。
うーん、所詮幼馴染みズの絆には敵わないということか。そうか…。
くっそ、残り物には福があるとかまったくなかったよ!
「おーしっそんじゃっ授業始めっぞー!」
『(…う、わ)』
前言撤回。福ありまくり。
直獅先生の声が前回の席より鮮明に聞こえる。
うわ、うわうわ。
思わず口元を手でおさえていると、
「ん?みょうじどした?具合悪いのか?」
『なっ、…んでもないです』
原因はお前だちびっこ!とは流石に言えなかった。
終始表情がころころ変わる直獅先生を一番前で見れるというこの優越感。
もう一生この席でも良いのに。…直獅先生の授業限定で。
「あ、そうだお前ら!今日抜き打ちでノート提出だからな!そうだな…みょうじ持ってきて貰って良いか?」
断るわけがない。
『直獅先生ー、ノート持ってきましたよー』
「おーありがとなっ」
ご褒美、と言いながら飴を私にくれた。
『私ガキじゃないんだけど…まあ貰いますけどねっ』
「素直じゃねーなー!」
でもいつも通りのお前で安心した、とぼそりと呟いた。
『はい?私今日何かおかしかったですか?』
「いやだって、」
俺のことガン見なんだもん、お前。
視線が痛かった一時間
(理解するのに数秒かかって)(理解したらもう駄目でした。)
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