いっしゅうねん! | ナノ


「なまえ?どうしたの、そんなニヤニヤして…」
『ええ?』

言われるまで気づかなかった。
梓が訝しげに向かい側のソファから私を見つめてくる。

「大学の課題。進んでないよ」
『あー…もういいやあ…』

梓がボーダーのマグカップに口をつけながら指差したのは私の前に広がっているノートと教科書と資料。
確かに言われたとおり先ほどからシャーペンの先は1ミリも減っていない。

「ちょっと…そんなんで良いの?」
『いーの』

ばさばさっと少し乱暴にノート等を閉じる。あ、ページ折れたかも。まあいいか。
私も自分の水玉のマグカップを手にとり梓の横に座る。

『今は甘えたい気分です』
「………なんかあった?」
『え』

きもいって言われるかな、なんて思って放った言葉はやっぱり頭がおかしいのかと思われたのだろうか。

「どうしたの?なんかあった?」
『えー…変かな』
「だって、そんなこと言うとかあんまりないじゃん」

先ほどより顔を不安げにさせ私の顔を覗き込む。

『…梓におはようって言って、おやすみって言えるのが良いなって思って』
「…今凄いきゅんってした」
『幸せーってかんじ』

何でもない日だろうと
おはようからおやすみまで
(君と囁きあえたのなら)(それは特別な日でしょう?)


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