いっしゅうねん! | ナノ
指先
『(うー…眠いー…)』
春の陽気に負けないように瞼が落ちてくるのを必死で耐えているなう。
教壇では生徒が寝ないように大きな声で授業を行う直獅先生。
だけれど、先生の努力は無駄だとでもいうように大半の生徒は寝ている。
現に隣の七海くんだとか。
毎回彼は寝ている気がする。とか毎回気になってしまうのは彼のことが好きだからとか自覚済みだ。
「こるあああ!だっ、かっ、らっ、寝るな橘!!」
「ほはい!」
「さっきから煩いよ、橘…」
怒る直獅先生。驚く橘くん。呆れる柑子くん。
これも何度目だろうか。
私はそんなことを思いながら肘をついた。
がたっ
『ほうあい!?』
「!?どうしたみょうじ!」
『なっ、なななんでもありません!』
びびびビックリしたあああ!
何が起こったかと言うと、だ。
寝てしまっていたら肘が机から滑ってしまい肘含め頭に教科書諸々机から落ちた。
ていうか何よりほうあい!?って何なのさ…!
ノート等を拾いながら自分で自分を叱咤していると、隣でくく…っと笑い声が聞こえた。
顔をあげると七海くんが組んだ腕に顔を突っ伏して大爆笑していた。
『っ…』
恥ずかしさで顔を真っ赤にしていると七海くんの足元に消しゴムが転がっていた。
取ろうとしたら、ふと指先に誰かの指先が触れた。
『え…』
「っ、わり…っ!」
指先から、微熱
(さささ触っちゃったよ…っ!)(やっべ…っ)
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