いっしゅうねん! | ナノ
指切り
「なまえ、入るよ?」
扉がかちゃりと空き羊くんが顔だけ出す。
そしてふわりと私の好きな笑顔で微笑んだ。
「やっぱり、なまえ似合うと思ったんだ」
『ありがとう…』
私は慣れないドレスのために椅子に座ったまま羊くんを待つ。
そして羊くんは完全に身体を扉の中にいれ、部屋のなかに入ってきた。
「ふふ、まるでお姫様みたいだね」
『そんなこと…。羊くんは王子様みたい』
白の、タキシードに羊くんの綺麗な夕日みたいな赤が映えていてとってもきれい。
「凄く似合ってる」
『わ、わわっ』
羊くんは軽々と私の身体を抱き上げた。
私は羊くんの肩に手を添えてバランスをとる。
普段と違う見え方に少しどきっとする。見上げてくる羊くんの瞳が真っ赤でルビーみたいだ。
「好きだよ、ずっと永遠に愛してるから」
『…私も、だよ』
普段ならそこでキスのパターンなのだけれど羊くんは私をゆっくり降ろす。
なにをするんだろう、と思っていると右手をつかまれ、
「さすがにね、結婚式の前にキスは問題ありそうじゃない?だから、」
『…』
小指が絡まる。いわゆる、指きりだ。
「ね。約束しようか、」
『…うん』
君に永遠の指切りを
(君の傍にずっと居るよ)
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