いっしゅうねん! | ナノ
微糖
「だーれだ?」
『………基山くん』
ぱっと目を覆う手が離れて振り返る、と
「残念。吹雪くんだよ」
『………声は基山くんだったよ』
「なまえは俺の手じゃないことさえ分かってくれないの?俺、寂しいな」
いつぞやに手で分かる人間なんてそうそう居ないよ!
そう言い返したら基山くんは俺は分かるけど?とさらりと返されたのだ。
実際、友達に協力してもらいやってみた所ほんとに当てた(しかも名前まで)ので言い返せない。
『士郎くん…!』
なんで協力するの、という念を込めて睨むと苦笑いで肩をすくめられた。
士郎くんは悪くないのだ。
「さ、今日も当てられなかっただからパンだね」
『やだばか!』
「焼きそばパンね」
『っ〜〜〜…』
逆らえないオーラを纏い笑顔の基山くんにチキンの私が逆らえるわけはないのだ。
「意外と子供っぽいことするね?」
なまえが購買に走って行くのを見ながら笑っていたら
くすくす笑いながら吹雪くんが俺にそう言った。
「好きなら好きって言えば良いのに」
「…別に、そんなのじゃないよ。彼女、いじると面白いから」
正直じゃないなあ、と吹雪くんは笑って言い何処かへ行ってしまった。
『はい、焼きそばパン!』
完全に油断していた背後からなまえの声がかかった。
「!、毎度のことながら早いね。だけど、今は要らないや。なまえが食べて良いよ」
俺がそう言うとなまえがぽかんと間抜けな顔をする。
『…私焼きそばパン食べれない』
「紅しょうが駄目なんでしょ?知ってるよ」
『!…わざとでしょ…』
「この機会に克服してみたら良いんじゃないかな?」
子供っぽい好き嫌いはよくないよ?と言うとなまえの頬が膨らんでゆく。
『どうせ子供っぽいですよっだ!』
「その顔もね」
可愛いけどね、と言うと膨らんでいた頬の空気が抜け代わりに真っ赤に染まっていく。
「あ、言い間違えた。面白いよね、だった」
『っ〜〜〜…基山くんのばか!!!』
微糖いじめっ子
(むしろ無糖)
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