いっしゅうねん! | ナノ


『こったろーさん』
「ん、あ…?」

居なかったら恥ずかしいので小さめな声量で呼ぶと、琥太郎さんはソファから少しだけ顔を出した。
疲れているのだろくか…。目元にクマが出来ているし髪も少し…いやかなりぼさぼさだ。
うーん…やっぱり最近働きすぎ、だと、思う。

「…なまえ、どうしたんだ…?」
『あ…えっと、琥春さんに頼まれて、ね。資料、もってきたの』
「ああ…そういえばそんなこと言ってたな…姉さん、というかお前を使わなくても良いものを…」

良いの良いの。時間に融通のきく仕事だからさ。
と言うと琥太郎さんはふっと微笑んだ。
その微笑みにどきっとして誤魔化すために持っていた封筒を手早く前に差し出した。

『こっ、これ!はいどーぞっ!』
「ああ、ありがとう…ちょっと中身確認するからそこに居てくれ」
『はーい』

ソファの膝置きに腰を下ろして足をぱたぱたさせていると、後ろからぐしゃっと何か奇妙

『?琥太郎さん?』
「…なんでもない、気にするな」

姉さん…、恨めしそうにそう呟いた。
多分手にあったメモか紙切れかが原因だろう。
そしてメモをぽいっとゴミ箱に投げ、口元に手をよせて何かを考え出した。

「…なまえ」
『はい?』
「ソファに、座れ」

なに言い出してんの、このヒト。
いやでもおとなしく聞いていたほうが良いか。
訳は分からないがとりあえず座ることにした、ら。

「…」

琥太郎さんが隣に座って、私側にこてりと倒れてきた。
え、と思っていたらもう太ももの上には青緑色した琥太郎さんの頭。
わっつ?と頭にハテナを浮かべていると、琥太郎さんが口を開いた。

「…30分だけ、貸してくれ」
『………30分じゃなくても良いですよ』


貴方限定のひざまくら
("疲れてるんだろうから、なまえちゃんでも補充しときなさいよ!!!")


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