Halloween | ナノ
東月くんと


「…あ、」
『すー…』

これはいったい、どうしたものか。
みょうじさん、と声をかけるとうぅ…ん、と唸っただけに終わった。
教室にはみょうじさんが一人、気持ちよさげに寝ている。
しかし時刻は完全下校の時刻へと近づいている。果たして起こして良いものかと。
口元に手を当て考えていると、ガラッと教室の扉が開いた。

「おっ東月ー…と、それみょうじかー?」

顔を出したのは陽日先生だった。どうやら見回り中らしい。

「あ、はい…寝ちゃってるみたいで…」
「そうかー。悪いんだけど東月送って貰ってもいいか?もう暗いし、俺はまだ見回りがあるし…」

申し訳なさそうに言う陽日先生に良いですよ、と言って未だに眠るみょうじさんを背中に背負って学校を出た。


『ぅ、…』
「あ、目覚めた?」
『ぅあ、…と、東月くん!?』

な、なななんで!?と背中で驚くみょうじさん。
そりゃ起きたら教室からいきなりクラスメイトの背中なんだから驚くよな。
苦笑しながら俺はゆっくりみょうじさんをおろす。
そして混乱中のみょうじさんに事情を話すとそっかありがとう!と笑って言ってくれた。

「昨日お菓子作りしてたんだろ?寝不足?」
『う…、そのとおりです…』
「はは、お疲れ様」

ありがとう、とへにゃっと笑うみょうじさんに悪戯心が沸いた。

「なあ、みょうじさん」
『あ、はい?』
「trick or treat.」

そうにっこり笑って言うと、目をぱちくりさせられた。
実は俺さ、知ってるんだ。

『ご、ごごめんね…。実はもうお菓子なくなっちゃって』

うん、知ってるんだ。
昼休みにみょうじさんのお菓子がなくなったこと。幸い他の男子には悪戯されてなかったみたいだけど。

「じゃあ、悪戯するね」
『…ほへ、』

間抜け顔のみょうじさんに近づいて、柔らかい頬にちゅうっと口づけた。

「ご馳走様。もう暗いから部屋入ったほうがいいよ?」
『え、ぇ、ええええええ!?』


ちょっとした出来心と、下心。

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