Halloween | ナノ
羊と
『羊くん!』
廊下で目立つ赤を見つけて急いで駆け寄った。
くるっと振り返った羊くんはふわりと柔らかく笑って、
『「トリック オア トリート!」』
2人して声がそろって言ってしまったので思わず吹き出す。
『あははっ!やっぱり息ぴったり!はいどーぞ』
この日のために作ってラッピングしておいたクッキーを羊くんに手渡す。
少しだけ他の人より量は多めだ。
「Merci!僕からも、はい」
羊くんからは飴の詰め合わせだ。
ピンクのリボンできゅっとしばられた袋。
『ありがとう!』
「ううん、僕もなまえのお菓子がもらえて嬉しいよ」
『そんなんでよければ…ていうか錫也のお菓子の方が美味しいのに』
とちょっと妬み混じりにそう呟くと、羊くんは
「僕はなまえのお菓子の方が好きだもの」
と言ってくれた。
その言葉に少し照れるものの嬉しかったもんだから
『…作りがいがあります』
と、錫也みたいに言った。
羊くんは照れ隠し?と笑って私の頭を撫でた。
君が、君の生み出すものが僕の好きなもの