100000 | ナノ
馬鹿

「なまえ先輩、」
『颯斗?』

珍しく昼休みに西洋占星術科の教室に現れた颯斗。しかも…思いつめたというか何か元気がない。
談笑していたクラスメートに断りをいれて席を立つ。

『どうしたの?』
「いえ…、ここじゃ、ちょっと…。生徒会室まで一緒に来てくれませんか」

一樹に許可はとってあるの?
思わず言いかけて止まる。そっか、もうあそこの主は颯斗だ。

『分かった、行こうか』
「はい」


『わ、ちょ…どうしたの?』
「…」

生徒会室に入った瞬間後ろから抱き留められた。
ぎゅうぎゅうと痛いぐらいに抱き締められている。ていうかすごい痛いです。
ふわふわのピンク頭をぽんぽんっと軽く叩く、と背後から息を呑んだような音が聞こえた。

『どした?疲れちゃった?』
「…んなんじゃ、ない、ですよ」

じゃあどうしたんだろう。
皆目見当がつかないのでそのままぽんぽんと頭を叩き続ける、と。

「…もう、気軽に会えないですね」
『そだね、でも夏休みとかは帰って来るし会いにも来るよ』

でも僕だけじゃないでしょう。
と言われて確かにそれは事実なので困ったように笑って返事はしない。

「我儘なのは、理解できてるんです」

我儘なのは理解できている、…納得はできてないと。

『我儘言っても良いんだよ?』

颯斗の腕が緩んだのをいいことに私は身体の向きを変える。

「置いていかないで…」

俯いた颯斗が小さい声でそう言う。私は思わずふふっと笑ってしまう。

『置いてなんていかない』
「…え」
『私は前に進むだけだよ。颯斗は追いかけて来てくれるんでしょ?
追いついて貰わないと困るよ。私が待つなんてしないタチなの知ってるでしょ?』

こういう性格で一樹に「お前可愛げねえよな」と言われたのは果たして何回か。そして一樹を殴ったのは何回か。

「…なまえ先輩らしいですね、」
『そんな私が好きなのは一体誰だろうねえ』

ねえ颯斗?と聞くと僕ですと答えた。その顔には以前のような笑顔が戻っていて。

「僕はなまえ先輩馬鹿ですから」
『うん知ってる。でさ、颯斗もう5限始まっちゃったんだな』

あ、と今気付いたようだ。珍しいなあ颯斗にしては。

「…今はなまえさんと居たいです」
『あら、素直』
「素直な僕は嫌いですか?」

意地の悪い質問だなあ、とは思いながらも答える自分も大概颯斗馬鹿だ。
結局のところお互い馬鹿
(どんな君でも、)(好きに決まってる)


◎慧さんリクエスト
颯斗で「置いていかないで」/糖度高めで年上ヒロイン

遅くなってしまい申し訳ないです…!

颯斗か錫也というリクエストだったのですが、
あまり書いたことのない颯斗で挑戦してみました…が、結果惨敗というね…!(((^p^)))
しかも全然糖度高くないですね!
もう色々残念でほんと申し訳ない…!書き直し随時受け付けておりますので…!

リクエストありがとうございました!

2012.03.10 望


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