100000 | ナノ
女神
「おいみょうじー茶淹れてくれ」
『……私がいま何をやっているか分かりませんか?』
そう言うと琥太郎先生はああ分からん、としらっと言うものだからファイルを思わず落としそうになる。
『先生が汚くした机の片付けですよ!』
「お疲れお疲れ」
『くそこんな駄目人間には絶対ならない…!』
そう言いながら散らかった書類を一つに纏めて机の端っこに置く。
「まあそうカリカリするな。後で自販機でなにか奢ってやるから」
「…絶対仕事量と見合わない気がする」
と言いながらも私は学生なので財布がキツキツなので正直ありがたい。
くそう…と思っていると保健室の扉がスパーン!と開いた。ああ、この開け方は。
「水嶋ああああ!お前またサボって…ってあれ居ない?」
『今日は来てないですよ…、って』
「…直獅、後ろ」
琥太郎先生が直獅先生の後ろを指差す。直獅先生が後ろを振り向くと。
「なんだ、今日は先回りですか?」
「えっあれなんで後ろに居るんだ!?」
なんだただの鈍感じゃないか直獅先生。水嶋先生は直獅先生をすり抜けて私の前にやってくる。
「やあなまえちゃん。今日も可愛いね」
『…』
こういうのは相手にしないに限る。私は黙々と琥太郎先生の机の処理にかかる。
「くおおおらああ水嶋!俺の!生徒を!ナンパするな!」
「陽日先生の生徒ということは陽日先生の下についてる僕の生徒でもあるんですが?」
そう返す水嶋先生に陽日先生はぐぬううと唸る。
「だいたい直獅、お前はみょうじの担任じゃないからお前の生徒ではないんじゃないか?」
「琥太郎センセまで俺を追い詰めないでくれよ!」
『…』
なんでこの人たち保健室でサボってるんだろう。
私はそんなこと思いながら机周辺を片付け始めた。…数分後、放置していたのが悪かったのかもしれない。
話は最終的に「誰のものか」という話に発展したのだ。意味が分からない。
事の発端は私が机を掃除しているのを直獅先生が琥太郎センセのじゃないんだから使い過ぎだぞという話からだ。
もう一度言わせてもらう意味が分からない。
「みょうじが一番好きなのは俺だよな!?なっ!」
「なに言ってるんですか。僕だよねえ?」
「こいつらみたいなアホに付き合ってられないだろう」
私は三人に囲まれているため逃げることが叶わない。
どうしよう、と思っていると琥太郎先生が私になにかを手渡した。
「ジュース、買って来い」
「琥太郎センセ、まさかの買収!?」
私はありがたくそれを頂戴して、自販機まで走った。よし、このまま逃げよう。
自販機に着くと偶然月子ちゃんと出くわした。
疲れた顔を見て月子ちゃんにどうしたの?と問いかられたので私は斯々然々と事情を説明するとなぜか月子ちゃんに腕を掴まれた。
『つ、月子ちゃん!?』
どこに向かうのかと思ったらまさかの保健室だった。
「失礼します!」
怒ったようにも聞こえるような声で保健室に入っていく月子ちゃんとそれに連れられる私。
中に居た三人も突然の訪問者で目を丸くしている。ていうかまだ居たのか仕事してください。
そう思っていたらぎゅっと月子ちゃんに抱き締められた。
「なまえちゃんは私のですから!!!!」
女神に包まれる
(先生たちになんか渡しませんよ!!)(つ、月子ちゃああん!!)
◎ゆうさん
秋組+月子/愛されヒロイン→月子に「私のもの」宣言
遅くなってしまい大変申し訳ないです…!
結局月子←→夢主になってしまいました(笑)
先生たちのキャラが未だに掴めきれて居ないので不完全燃焼です…(´・ω・`)
リクエストありがとうございました!
2012.04.18 望
← →