100000 | ナノ
あまい

「なまえちゃん、これあげるよ!」

そう言って月子ちゃんが差し出したのは2枚の紙切れ。
受け取って書かれている文字を読むと、

『…ケーキバイキング、食べ放題割引チケット?』
「そう!宮地くんと行ってきなよ!」

にっこり顔の月子ちゃん。私は顔に熱が集中するのを感じた。

『えっ、でも…』
「大丈夫だよ、部活ももう引退したし!誘うだけ誘ってみれば?」

そう言われて、私は頷いた。
これって、デート、だよね…。

次の日、図書館で自習中の宮地くんに声をかける。

『宮地くん、』
「む、どうした?」
『あの、ね』

今度の日曜日、デートしない?
そう聞くとガタタッと椅子が大きな音をたて、宮地くんの顔が昨日の私みたいになった。

「で、でで、っデート!?」
『う、うん…月子ちゃんからケーキバイキングの割引チケット貰ったから…』

宮地くんの慌て様に若干戦きながらそう答える。

「む、………みょうじは、行きたいのか」
『え、っと…宮地くんと一緒だったら行きたいかなーって』

うわこれかなり図々しくないかな、なんて思って恐る恐る返事を待っていると。

「………分かった、9時に校門で待ってる」
『!うん!』

図書館ということを忘れて思わず大きめなボリュームで返事をしてしまった。
幸い怒られなかったけど。


『宮地くん!』
「む、おはよう」

校門を背にして腕を組んで仏頂面をしていた宮地くんが私の方へ振り向く。

『ごめんね、待たせちゃった?』
「む、気にするな。男の俺が待つのがセオリーというものだろう」

だから存分に待たせていい、と宮地くんにしては珍しくふっと笑った。

『う、じゃあお言葉に甘える…』
「そうしてくれ。じゃあ行くか」

バス停の方へ歩き出す宮地くんの背中を追った。


「む、…」
『ふふっ、美味しそうだね』

ショーケースに並べられたケーキを見て目を輝かせた宮地くん。
なんだこの生物、可愛いな。

『食べ放題だから一杯食べようね!』
「む、そうだな…とりあえずいくか」

積まれた皿をとって、並べられたケーキを嬉々としてとる宮地くん。
誘ってよかったなあと思った。そして私もケーキをとりに行った。


『美味しいね』

モンブランをつっつきながらそう言うと、宮地くんはそうだなと言いながらショートケーキを口にいれた。
その拍子に口の端にクリームがついていた。

『宮地くん、クリーム付いてるよ』

宮地くんと同じよな場所を自分の口をとんとんと叩くとむ、と言いながら紙ナプキンでそこを拭いた。

「む、お前こそ付いてるぞ」
『うそどこ…?』

と聞くと、宮地くんが何故か机から乗り出した。
え、なにするの。と思っていたらぐいっと頬のあたりを親指で少しだけ強く擦られた。

「…なんでこんな所に付くんだ」

ふっと笑いながら擦った親指をそのまま自分の口にもっていって舐めた。
な、めた…!?

『っ…』
「あ」

ぷしゅうと音が鳴りそうなぐらいに顔が真っ赤になったのが分かった。
宮地くんの顔が「やってしまった」みたいな顔になっていた。…このナチュラルタラシめ。
なによりもあまい


◎花香さんリクエスト
宮地で頬についたクリームをとってもらう/甘

遅くなってしまいすいませんでした…

宮地はナチュラルタラシだと信じてやまない望です☆←
すいません宮地がアホの子みたいになってしまいました(笑)

リクエストありがとうございました!


2012.02.06 望


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