100000 | ナノ
一番

※不知火子持ち設定
(娘で伊月(いつき))

『…』

ぷくう、もしかしたら私からそんな音が発生しているかもしれない。
雑誌を読むフリをしながらちらちらとその方向を見る。

「パパー!!」
「おっ、なんだあ?伊月」

きゃっきゃと戯れる愛娘である伊月と一樹さん。
久々の休日ということで珍しく緩い格好で一樹さんがソファーに座っている。
そして一樹さんによじ登る伊月。5歳時ながら中々の身体能力である。

遊ぼう、と言う伊月に一樹さんはもちろん笑って良いぞと言う。
一樹さんは中々に親バカなのだ。

「なまえ、そんなとこに居ないでこっち来いよ」

そんなとことはソファーから少し離れたダイニングテーブルのことだ。

『んー私は良いです』
「ママどうかしたの?」
『疲れちゃったからちょっとお昼寝してくるね』

一樹さん譲りのくりくりの翡翠色した瞳で見上げてくる。
私はその頭を撫でて寝室に引っ込んだ。


はあああ…、と長いため息をつきながら私はベッドに寝転んだ。
娘に嫉妬とか…馬鹿じゃないの…。


『え…、っと…』

目を開くと、まず飛び込んできたのは一樹さん。そして私と一樹さんの間には伊月がすぴょすぴょと寝ている。
所謂、川の字ってやつだ。

一樹さんは起きていて、目が合うと笑って。

「はよ」
『あ、…おはようございます…?』

なんでここに居るんだろ。
そんな私の疑問が顔に出ていたのか一樹さんが口を開いた。

「お前、なんか機嫌悪かったからなー」
『ああ…別に、なんでもないですよ』

まさか娘に嫉妬しましたなんて言えるわけがない。
笑って誤魔化そうとしたけれど一樹さんには通用しなかった。
デコピンを食らった。

「ばーか、構って欲しかったんだろ」
『…分かってるなら聞かないでくださいよ』
『いやあ、伊月に嫉妬するお前も中々可愛かったからなあ』

分かってて構ってくれなかったんだ一樹さん。

『さいてー』
「嫁さんの可愛いところを俺は見たいんだよ」
『…颯斗くんと浮気してきても良いですか良いですよね』
「おいこら!なんだ?そんなに嫉妬させたいのか?」

そう言う一樹さん。ほんと意地の悪い…。

『…だって私だけ、妬くなんて一樹さんズルイ』
「ずるくねえよ。…じゃああれか」

にやり、と笑って伊月を乗り越え身を乗り出してくる一樹さん。あれ、嫌な予感しか…。

「…な、なまえ。息子でも作るか?」
『…それは、過程狙いですよね?』
「当たり前だろ」

キスしようとしてきた一樹さん。私はその顔のまえに手のひらを挟み込んだ。途端不満そうに顔を変える一樹さん。

「…なんでだよ」
『…伊月が見てます』

その言葉どおり、私と一樹さんの間の伊月が上目遣い気味に私たちを見ていた。

「伊月ぃいい…良い所で目ぇ覚ますなよなー…」

がっくりと肩を落とす一樹さんに私はくすくす笑った。
一番は永遠に私
(ママぁなにやってたの?)(んー、秘密。伊月ありがとうねー)


◎杉田夾さん
一樹で甘甘/「なんだ?そんなに嫉妬させたいのか?」

遅くなってしまい申し訳ないです…!

一樹子持ち設定でお話進めてしまいましたが
如何だったでしょうか…(´・ω・`)

リクエストありがとうございました!


2012.04.24 望


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