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やり返し

『哉太先輩お土産ください、おかえりなさい!』
「逆じゃねえの普通は!」

いったいなんだって言うのか、この子は。
哉太に抱き着いているといっても過言ではないぐらいにひっついている俺の彼女のなまえ。
大事なことだからもう一回言う。なまえは俺の彼女だ。

俺としては幼馴染みでも男に抱き着くのは嫌で。まあ顔も知らないの男のほうがもっと嫌だけど。
どっちにしろ俺は自分の彼女が他の男とイチャイチャしてるのを見ているわけで。
つまるところ。

「え、なんなんだこれ」

な気持ちな訳です。
俺の気持ちも知らないまま二人はぎゃあぎゃあ言いながらふざけているし。
月子は月子で苦笑いで俺を見ているし。

「なまえ」
『…』
「おーい」
『…哉太先輩呼んでますよ』

俺じゃねえよ、と哉太が後ろに隠れたなまえに言う。
なまえは哉太を盾にして俺と目を合わせようとしない。

え、俺何かしたっけ。
記憶に有る限りはなにもしてない筈なんですが。

「俺か!?俺が悪いのか!?」
「何も言ってないだろ」
「顔が語ってんだよ!!少しは隠せよ!」

哉太よりは分かりにくいつもりなんだけど。

「なまえちゃん、錫也の顔が凄いことになってるから出ておいでー」
『…』

月子が声をかけるとむすっとした顔で哉太の背中から出てくる。
そして今度は月子の背中へ逃げる。

「なまえちゃん、どうしたの?」
『…』

ぼそぼそと月子にだけ聞こえるようになまえが話す。そうすると月子がそういうことかーと笑った。
いやだからどういうことですか。

「なまえちゃん、錫也が修学旅行中私のこと忘れてただろうからって拗ねてるんだって」
『月子先輩!』

言わないでって言ったじゃないですか!と真っ赤な顔で反論するなまえ。あー…なんでそういうこと考えちゃうかなあ。

「じゃあ後は二人で仲良く解決してね!ほらっ行くよ哉太!」
『え、ちょ…っ月子先輩!哉太先輩!』

なまえが引きとめようとするも空しく二人はどこかへ行ってしまう。そしてなまえは俺に背を向ける。
俺は少しだけ笑ってその背中を抱き締めた。

「なまえ、…さびしかったんだろ?」
『…別に、そんなんじゃないですもん』

なまえは首に巻きついている俺の腕に顔を埋める。

「嘘付くなって。バレバレなんだから」
『………寂しかったですもん。だから、錫也先輩だって味わうべきだもん…』

観念したのか白状するなまえ。段々小さくなっていく声が可愛くて可愛くて。

「残念なお知らせだけどさ。なまえのこと一秒でも忘れるなんて俺には無理だから」
だから君のやり返しは無意味
(寂しくはならなかったが)(妬いたとは言わないでおく。)



◎蒼依さんリクエスト
錫也で「さびしかったんだろ?」/後ろから抱き締められる

遅くなってしまい申し訳ないです…(´・ω・`)

ただのデレデレ錫也さんでした(笑)
でも多分この後は自分の部屋で散々構ってあげてると思います´^ω^`
「寂しかったんだろ?ほらおいでー」『え、なんで足の間…!?』で一時間みたいな

リクエストありがとうございました!

2012.03.10 望


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