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小指をたててくいくいっと何度か曲げる。
この行為に意味があるのかと問われると、確かに意味はないんだけれども、頭で考えていることはとてもメルヘンチックだった。


『ねえねえ、赤い糸ってあるじゃない』
「うん?いきなりどうした?」

まあ答えてよ、私のいきなりの質問に目を白黒させる錫也にそう言う。
かくゆう今は錫也の部屋で寛いでる最中で、私はベッドに寝転がり錫也は床に座って雑誌を読んでいたのでまあ驚くのも無理はない。

『あれってどうして赤なのかな。糸だったら青だろうが黄色だろうがなんでも良いんじゃない?』
「…」

少し考える素振りをして雑誌を閉じた錫也が私の横に座る。

「結んでるものが愛とかそういう赤系の感情だからじゃないか?」
『えー…じゃあ嫌いな感情の青い糸とかも存在するじゃない』
「そっか…、じゃあ血の色かなあって」

え、なにそれいつからそんなホラーになったの。グロすぎる。

「いや別に俺は血で染めたとか言ってるんじゃないけど」
『ああ…ビックリした…』
「血がないと生きられないだろ?だから、そういう必要不可欠的な意味で」

あー、なるほど。
それは確かに納得できるかもしれない。

『じゃあ小指に結んであるのは何で?』
「ちなみに昔は足首に縄だったらしいぞ」

なにそれ怖い。

「冥界から出るときに縄を貰って結ぶらしい」
『え、マジで言ってんの?』
「ウィキで見たことがある」

ウィキさん便利だなあ。

「で、話がそれたけど。俺は約束する指だからかなって」
『指切り?』
「そう。でも昔は指切りってその名の通り指切るらしいしな。案外違うのかも」

分かんない、と言いながら笑う錫也は私の頭を撫でる。

「なんでいきなりそんな話?」
『………錫也の、糸の先に、違う子が居たらやだなって』
「……あー、やっぱりなまえはかわいいなあ」

綻ぶような笑顔を見せて更に私の頭を撫で回す錫也。

「でも、もしそんなときは糸なんか頼らずにお前と俺の小指結んじゃえば良いよな」
要らない糸は鋏で切ろうか
(先が君ではないのなら)(僕にはなんの意味も持たないのだから)
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