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無題


彼女との出会いはまったく甘酸っぱさや砂糖みたいに甘いものなんて微塵もなかった。


「うぐ、っ」

校舎の裏で売られた喧嘩は買う主義の俺は3、4人相手に喧嘩していた。
最初は俺が優勢だった。それが一変したのはまたいつものだ。
俺が胸を押さえて膝をつくと相手は勝てる、と思ったのか一斉攻撃。手も足も出ないというのはこの事か。

『なーにやってんのよ、寄ってたかって』

そんなとき、彼女が現れたのだ。
見る間に相手を一蹴。スカートなのも気にせず相手をぼっこぼこだ。

『一昨日きやがれ!』

そんな台詞も忘れずに。
相手が逃げていく姿にガンを飛ばしその背中が見えなくなってからすわり込んでいた俺の前にしゃがむ。

『大丈夫?七海くん』
「なんで俺の名前…」

月子がいつも言ってる、そう言ってころころ笑うみょうじ。
そういえばみょうじは月子の友達だったか。

『喧嘩するのは良いけどね、心配かけちゃダメ』

分かった?そう言う彼女はどこか錫也と似たような雰囲気を思わせた。

「…お前に言われることじゃねーよ」
『うんそうかも。私も喧嘩するし』

えへ、困ったように笑う彼女になんだか拍子抜けだ。

『でも月子が心配する。あと東月くんも』
「…」

んなことお前に言われなくても分かってる。

『心配させるのが嫌なら強くなったら?』

じゃあね、彼女はスカートを翻してどこかへ行ってしまった。
そんな後ろ姿がどこかに焼き付いた。


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