隣に幸せ | ナノ

机をくっつけ


「更科さん、おはよう」
『と、東月くんおはよう…』

にっこりと笑ってそう言う東月くん。
うああああ!ほんっと王子様!かっこいい…!
キラキラスマイルな東月くん。私の顔は間違いなく真っ赤だ。そうに違いない。
私は自分の死亡原因が"東月錫也"なんてことにならないように急いで自分の席に座った。


『あ…っ!』
「更科さん?どうかした?」

不思議そうにこちらを見つめてくる東月くんになんでもないよ、と返事をする。
明らかになんでもないこと間違いなしだけども。

「おまえらー!授業始めどおうわっは!!」
「よっしょきたー!!直ちゃん今日の弁当のオカズもいただきだぜー!!」

と、定番のネタを繰り返す陽日先生に近づき、

『先生…、あの、教科書…忘れちゃって、』
「おーそうか、珍しいな!隣のやつに見せてもらえ!」

ですよね!やっぱり?!
隣といったら壁と東月くんな訳で、当然壁に教科書を借りれるはずもない。


つまりつまりそういうことですよね。ええ、ですよね。

『あの…、教科書、見せて、くれないかな…?』
「え?ああ、良いよ」

机くっつけよっか、そう提案した東月くんに壊れた人形のようにこくこくと頷いて机を動かした。
ふうおおああ!どうしよう!死にそう!

『ありがと…ございます』
「いえいえ」

うわー…。指長ーい…。肌白ーい…。手きれー…。
と、か思ってたら、だ。

「…!弥白ー!」
『っはい!』
「おっやっぱ聞いてたか!じゃあ答え」

え、聞いてないんだけど。え、何の問題。100とか言っとけば良いのかこれ。いやでも天文学に100関係ない!
さっぱりな私は返答に困り果てていると、腕を突っつかれた。

『(東月、くん…?)』
「…」

トントン、とノートを指先で軽く叩く。その先には"カロン"と書いてあった。

『か、カロン…?』
「そうそう!冥王星の衛星のことだな!」

私はすぐさま東月くんにお礼を自分のノートに書いた。

『(ありがとう!)』
「(いえいえ)」

綺麗な字でさらさらと書かれていく。

「(なに見てたの?)」
『…っ』

それは東月くんの手とか字とかとりあえず東月くんです!
なんて言えるわけない。



机をくっつけて、
気持ちバレそう






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