隣に幸せ | ナノ

くらくらする


ショーンとしながら一日の授業をこなした。


『絶対無理だよう…東月くん私に名前呼びされるの嫌なんだよう…』

一度はまったら抜けられないループにはまってしまった。
もう絶対無理だ。

「そんなことないよ?」
『そんなことあるよ…』

ぐでんと屋上のベンチに頬を突っ伏してネガティブまっしぐらな言葉を呟いてる私を月子ちゃんが励ますがまったく元気その他諸々が出てこない。ごめんなさい月子ちゃん。

「…ちょっと待ってて!」
『へ…』

月子ちゃんは私の返事も聞かずに何処かへ走り出した。



「えっと、…どうして俺はここに呼ばれたんだろう…」
『へ…、と、東月くん…!?』

あられもない格好で、具体的に言えばスカートで寝そべっていたのだけど
私の視界がいきなり東月くんで一杯になってしまった。なにゆえ。

誰だこんなみっともない姿を東月くんに見せようと画策した犯人は!と考えてみたがきっと、いや九割方月子ちゃんだな…。

『あー、っと…月子ちゃんに、呼ばれたんだよね…?』
「うん。あ、もしかして用があったのって更科さん?」
『いや、っ…えーっと、』

東月くんを名前で呼んで良いか、なんて聞けない聞けない!

「良いよ」
『え…』
「いやだから名前で呼びたいんだろ?別に構わないよ」

え、なんで分かったんだろうこの人エスパーだったのかな。そう思っていると
東月くんが自分で言ってたぞ、と答えをくれた。なーる、って私馬鹿丸出しだよね!というか、というか

『ほ、ほんとに良いの…?』

念のために確認する。
そうすると東月くんは目をぱちくりさせる。

「良いよって。ていうかなんでそんなに聞くんだよ」
『だ、だだだって迷惑とかじゃないかなって…』
「名前で呼ばれるくらい迷惑なんて思う人は居ないよ。少なくとも俺は更科さんに名前で呼ばれて嬉しいし」

ああもう、その言葉だけでも死ねそうです。こんな幸せなことあっていいのかな。

「あ、俺も更科さんのこと名前で呼んでも良いのか?」
『あ…っと、ご、ご自由に…!』
「じゃあ、弥白で」

ふはっ、と笑いながらそう言った東月くん改め錫也くんに卒倒しそう。


くらくらしちゃってだめなんです



「弥白」
『あぅ…っ』
「弥白ー」
『う…!』

「(可愛いなあ…)」

思わず緩みそうな口元をおさえた。更科さん改め弥白に見られてないといいけど。
俺が名前を呼ぶたびに面白いくらい反応してくれる弥白。

その顔は真っ赤で、だから仕方ないだろ?

そんな行動期待しちゃうだけなんだぞ、なんて教えるつもりはないけれど。







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